■シネマトダンスー3つの小品  ■Farben

■彩の国さいたま芸術劇場.大ホール,2020.1.17-19
□シネマトダンス-3つの小品
■演出:金森穣,衣装:堂本教子,映像:遠藤龍,出演:Noism1,井関佐和子,山田勇気,金森穣
■小品の3つは「クロノスカイロス1」「夏の名残のバラ」「FratresⅡ」。 どれも舞台にカメラを載せてリアルタイムで背景に映写する方法を取る。
「クロノスカイロス」はアスリートたち?が走り回り立ち止まり踊る、スピード感のある舞台だ。 タイトルからみて時間と時刻を表現しているらしい。 音楽がバッハだったがダンスに合っていない。 無機質な音楽を使っても面白いとおもうが。 リアルタイムでダンサーの走り回る姿をデジタル時計と共に背景に映し出していた。
「夏の名残のバラ」はカメラマン山田勇気がダンサー井関佐和子について回りデュオとして踊る場面もある。 踊る時はカメラを床に置く。 カメラ動作が密着していて新鮮だった。 この作品は井関が地下の化粧室にいる場面から映し始める。 「中国人の不思議な役人」「マッチ売りの話」のポスターや古びた胴体だけのマネキンも写し出され寺山修司の世界に入り込んだような映像に感激してしまった。 タイトルの歌詞もなかなか良い。
「Fratres」は金森穣のソロだが背景にもう一人のダンサーの影が写り同じ動作をする。 激しい動きもあるが僧が修行をしているようだ。 影が彼の分身にもみえて哲学的宗教的な雰囲気が感じられる。
「映像の力を借りるのではなく、映像の力と拮抗すること」(金森譲)。 観ている時は舞台の流れに身を任せるが彼の映像はとても凝っているのが分かる。 後者2作品は映像と舞台はまさに拮抗をしていて切り離せない。
□Farben
■演出:森優貴,衣装:堂本教子,出演:Noisum1,井関佐和子
■森優貴は「NHKバレエの饗宴2017」に登場している。 暗さのある舞台、動きのある振付になっている。 12名のダンサーは群になり体を捻じれさせ苦しみ悶えているようにみえる。 彼の舞台は文学舞踊劇と言われているがナルホド面白い名称だ。 衣装はモノトーンで上白下黒、小道具の机も黒、そこに花瓶の花束や鉢植えの木葉などを置く。 しかし花や木をみると戸惑ってしまう。 ダンスが瞬断され意味を追ってしまうからだ。 鞄から旅も意識する。 ストーリーも感じられるが身体とオブジェの関係が断片的でよくみえない。 タイトルも捻っている。 いろいろ詰め込んでいる背景が時々顔を出すような舞台だった。
*劇場サイト、https://www.saf.or.jp/arthall/stages/detail/7012