■鶴かもしれない2020

■作・演出・美術・出演:小沢道成,音楽:岡田太郎,舞台監督:竹井祐樹,照明:南香織,衣装:藤谷香子,ヘアメイク:笹川ともか
■下北沢駅前劇場,2020.1.9-13
■タイトル末尾の年号は再演の印らしい。 近頃よく見かけますね。 演出家も検討を重ねてきたのでしょう。 良くまとまっている舞台でした。
一人舞台の女主人公である相手はラジカセ?から喋り続ける男です。 途中で役が入替り男が演じ女がラジカセになり、話が佳境に入ると一人二役にもなる。 しかもラジカセの声も二役でト書を兼ねている。 そのト書も二つに分かれ状況説明と物語「鶴の恩返し」を朗読していく。 これらが綿密に組み立てられていてスキがありません。
「鶴の恩返し」を聞きながら、現代の男女の出会いと生活を重ね合わせていくストーリーです。 二人の生活風景は貧しい。
(男が)安易にカネを求める惰性。 (女が)肉体を削ってカネを得る限界。 この惰性と限界が結び合って起こる現代の悲劇を描いている。 でも女は男にそこまで恩返しをしなければいけないのか? <恩返し>の相手を広げることが現代では必要なのでしょう、・・女はそうしたが初めの一歩で別の道を選択しましたね。
途中、衣装を散らかしダンスに近い激しい動きや照明が舞台を豊かにしていました。 ところでラジカセから聞こえる男の喋り方が無垢なのは演出でしょうか? <恩返し>つまり約束や愛がボヤケてしまった一因にみえます。
*TPAMフリンジ参加作品
*CoRichサイト、https://stage.corich.jp/stage/104143