■NHKバレエの饗宴2017

■指揮:園田隆一郎,演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
■NHK・Eテレ,2017.5.21(NHKホール,2017.4.8収録)
■「ナポリ3幕からパドシス,タランテラ,フィナーレ」,振付:A・ブルノンヴィル,音楽:ヘルステッド他,出演:井上バレエ団
■衣装はアルプス風だがナポリへ行ったことがないので風景が読めない。 タンバリンや箒のようなポールを持つからヨーロッパの村祭りにもみえる。 心が和む舞台である。 振付は細かいけれど淡泊である。 
■「死の島」,振付:森優貴,音楽:ラフマニノフ,出演:貞松・浜田バレエ団
■暗くて舞台全体が見えない。 どのような照明か感じ取れない。 雰囲気や息遣いが映像では伝わらない典型的な舞台だろう。 勅使川原三郎のカラスを思い出してしまった。 振付は振幅があり彼らより大らかである。 いま上演しているなら取り敢えず劇場へ駆けつけたいくらいだ。
■「テーマとバリエーション」,振付:G・バランシン,音楽:チャイコフスキ,出演:新国立劇場バレエ団
■音楽と同期が取れていて心地よさを感じる。 ダンサーは重量感がある。 その重力に逆らうリフトは計算され尽くしていて感動を覚える。 バランシンを選んだ理由も納得できる。 パリオペラ座、ボリショイバレエ、ロイヤルオペラなど有名なバレエ団を思い浮かべる時に所属する国はあまり意識しない。 このバレエ団も名前は良くないが国を忘れることができる。 他のバレエ団はどこか日本を感じてしまう。
■「眠りの森の美女から3幕」,振付:T・ウエストモーランド,音楽:チャイコフスキ,出演:牧阿佐美バレエ団
■微妙な面白さのある振付である。 ユーモアと言うよりウィットを感じる。 全体にオットリしている。 今年は4作品で少ない。 時代は違うがこれも日常世界を見つめる平凡さが背景に感じられる。 その世界も大事だと言っているようだ。
そして毎度のことだがカメラワークがいい。 テレビの前の観客に負担をかけない映像である。
*公演サイト、https://www.nhk-p.co.jp/ballet/archives.html