■乱鶯

■作:倉持裕,演出:いのうえひでのり,出演:古田新太,稲森いずみ,大東駿介,清水くるみ,劇団☆新感線
■新宿バルト9,2017.5.20-(2017.4.15収録)
■主人公鶯十三郎は鼠小僧のような窃盗犯です。 活躍した時代も天明と天保で数十年しか違わない。 怪我をした十三郎は堅気になり助けられた恩人の酒場で働いているが新たな事件で悪役奉行と盗賊一味を再びやっつけるという話です。
日本橋界隈の酒場や呉服店が舞台ですから江戸庶民の生活が描かれる。 その生活は事実から離れていてもいつもとは違ったリズムが現れています。 しかし真っ当な登場人物の多くが殺されていく粗筋はいかにもゲキXシネらしい。
この作品の欠点は秘密や記憶などがアヤフヤなところでしょう。 火縄売り砂吉の押込み強盗決行日時を事前におおやけにしてしまう、北町奉行与力黒部源四郎が酒席で十三郎を見抜けないなどワザとらしい。 御先手組組頭小橋勝之助はギャグり過ぎです。 この歌舞伎的なところが逆に面白いのですが。 もう一つは居酒屋主人勘助の幽霊を登場させたことです。 十三郎とお加代を結び付けたいが物語の流れからいっても深く突っ込みたくない。 お化けでお茶を濁してしまった。 それでも隅田川で花火を打ち上げられるのは新感線パワーが炸裂している証です。
*ゲキXシネ2017年作品
*作品サイト、http://www.geki-cine.jp/midareuguisu/