■春のめざめ

■原作:F・ヴェデキント,演出:白井晃,音楽:降谷建志,出演:志尊淳,大野いと,栗原類ほか
■神奈川芸術劇場・大スタジオ,2017.5.5-23
■演出家白井晃の美術にはいつも感心させられます。 半透明のガラス板で囲まれた狭い舞台と青白い蛍光灯はギムジナムで生活している生徒の心を表している。 その板の奥は異界でしょう。 音楽の揺らぎもいい。 青春の死はいつも不条理ですから。
生徒の自慰やメルヒオールのヴェントラへの強姦もベトベトしない形で様になっています。 若い役者たちが素直だからでしょう。 それと合唱の無いコロス=群舞として喋り動くからだと思います。
生徒の周囲にいる大人たちの登場もどこからかやって来る感じです。 あの医者?もそうです。 彼がモーリッツの亡霊を引き離しメルヒオールを連れて帰る場面は大事な何かを思い出させてくれます。 たぶん人生としての思春期の終わりをです。 良き舞台だから思い出せるのでしょう。
ところであの医者は人生の黄昏時に再びやって来る人でしょうか? 次はメフィストと名乗って。
*劇場サイト、http://www.kaat.jp/d/harunomezame