■外地の三人姉妹

■原作:アントン・チェーホフ,翻案・脚本:ソン・ギウン,演出:多田淳之介,翻訳:石川樹里,出演:伊藤沙保,李そじん,亀島一徳ほか,劇団:東京デスロック
■神奈川芸術劇場・大スタジオ,2020.12.12-20
■舞台は1930年代朝鮮北部。 最初は慌てたけど「三人姉妹」にしっくり来る時代と場所に思える。 チェーホフに出会えた!と言える舞台は少ない。 でも今日の舞台はチェーホフに届いたという達成感があったわよ。 「東京へ帰りたい!」「生きなくちゃ!」。 言葉を越えて迫ってきた。 それは時代風景が荒々しく描かれていたこともある。 特に日本兵に存在感があった。 日韓合同作品の成果の一つかしら。 映像説明が過剰だったが90年前だから仕方ない(?)。
舞台中央には居間、奥に中庭、客席前には素焼き色をした陸軍鉄帽や歩兵銃、楽器やキーボードなど数十の置物が散らばっているの。 この均衡ある舞台美術は終幕が近づくにつれて片づけられる。 でも置物の効果はあったようにはみえない。 置物に目が行き届かなったからよ。
姉妹の長男福沢晃の登場場面にはびっくり。 彼はどうしようもないアウトサイダーね。 次女昌子と中佐磯部史郎との恋愛もなかなか激しい。 異化効果のようで物語を活き活きとさせていた。 朝鮮舞踊(?)で幕が下りるのも良し。 今日のような舞台に出会うとチェーホフを改めて好きになってしまうわね。
*日韓合同作品,KAATx東京デスロック作品