■スモール・アイランド

■作:アンドレア.レビ,演出:ルーファス.ノリス,出演:リア.ハーベイ,エイズリング.ロフタス他
■シネリーブル池袋,2020.6.12-18(オリヴィエ劇場,2019年収録)   
■ジャマイカがスペインからイギリス領に替わったことをこの映画で知った。 「ウィンドラッシュ世代」という言葉も、そして作品が当世代を描いていることもだ。
1940年代、故郷ジャマイカからロンドンに旅経つ教師ホーテンス、リンカンシャーの英国片田舎から逃れたいクイニー、この二人が交差する人生を描き出す。 彼らの夫たちも大戦の影響をもろに受けながら混乱の戦後ロンドンを生きていく。
音楽担当がインタビューでレゲエだけではなく弦楽器まで広げて映画のように選曲したと話していた。 そう言われると、この作品の感動は演劇というより映画的に感じられる。 人生が持つ時間的リズムが通奏低音のように鳴り響いているからだ。 
ホーテンスと夫ギルバードは人種差別に耐えながらも、クイニーが産んだジャマイカ人との子供を養子に引き取る終幕は差別を超えた感動が押し寄せてくる。 そして養子として育てられたホーテンスの子供時代から始まり再び養子を引き取るストーリーに人生の輪廻的感動が加わる。 現代英国に一石を投じる作品である。
*NTLナショナル・シアター・ライヴ作品