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■顕れ-女神イニイエの涙ー

■作:レオノーラ.ミアノ,翻訳:平野暁人,演出:宮城聰,音楽:棚川寛子,出演:鈴木陽代,美加理,阿部一徳,劇団:SPAC ■静岡芸術劇場,2019.1.14-2.3 ■女神イニイエに使えるカルンガ役阿部一徳が観客に向かって理解できたか?と質問する。 それだけ分かり難い物語構造で始まります。 アフリカの神々を知るための忍耐が前半は必要ですね。 しかし奴隷貿易に加担したアフリカ人加害者を裁く場面で一転する。 以降は心身が解放されたように舞台に集中できます。 それは被害者と加害者を越えた人間の救済を描くからです。 加害者を裁く作品は多いのですが裁いた後のことが語られない。 演出家の言葉「・・人間に関わることで私に関係のない事は一つもない。」の全方位性がその続きを描けたのだと思います。 観終わって「鎮魂のための祝祭音楽劇」とチラシに書いてあったことに納得しました。 それにしても作者のメッセージ力は強い。 終幕に神々の演説に近い場面があるが演出家が上手くまとめていました。 宮城聰演出の苦労した痕跡が随所にみられる舞台です。 これがまた深みを与えていた。 神を演ずるときのスピーカー(語り手)とムーバー(動き手)の分離は強力に作動しますね。 そして打楽器の演奏がアフリカを一層近づけてくれました。 *パリ.コリーヌ国立劇場共同制作作品 *劇場、 https://spac.or.jp/au2018-sp2019/revelation_2018

■黄金の馬車  ■マダム・ボルジア

□黄金の馬車 ■原案:プロスペル・メリメ,ジャン・ルノワール,演出:宮城聰,出演:阿部一徳,石井萠水,大内米治ほか,劇団SPAC ■観劇三昧・WEB(舞台芸術公園・野外劇場「有度」,2013.6.15収録) ■日本の戦国時代、旅芸人一座がとある農村で演じる劇中劇の構成を取っている。 一座の演目が日本神話、イザナギとイザナミに始まりアマテラスやスサノオなどなど神々が総登場します。 その芝居を観ている農民が観客の仲介者となり劇中劇が一体化されている。 まさに舞台と現実が溶けあい主人公の科白「人生は芝居か?芝居こそが人生か?」に繋がっていく。 原作映画は観ているが記憶が無い。 当時の記録には「ルノワールにしてはツマラナイ」と書いてあった。 ルノワールの作品は観るほどに味がでてくるので、今なら別評価になるかもしれない。 ところで今回は役者たちの声が殆ど聞き取れなかった。 舞台中央で喋る時はハッキリ聞こえるが周辺では呆けてしまっていた。 舞台映像は画質だけではなく音質も重要です。 途中に2行ほど字幕が表示されたが日本語字幕があれば助かります。 *ふじのくに・せかい演劇祭2013作品 *CoRich、 https://stage.corich.jp/stage/45835 □マダム・ボルジア ■作:ヴィクトル・ユゴー,演出:宮城聰,出演:美加理,阿部一徳,大内米治ほか,劇団:SPAC ■観劇三昧・WEB(駿府城公園・紅葉山庭園前広場,2019.5.5収録) ■ついでにもう1本観ることにする。 野外それも公園での上演だが、先ほど観た「黄金の馬車」よりずっと音質は良い。 最期まで役者の声がはっきりしていた。 音響技術の違いでしょうか? ギリシャ神話から題材をとったような母と子の近親相姦に近い物語です。 その背景は多国が混ざり合ったような戦国時代になっている。 緊張と弛緩が交互にやってくるリズム展開は良く出来ていますね。 しかし緊張感が散ってしまう。 公園より劇場が合っている作品かもしれない。 映像ではなんとも言えないもどかしさもある。 生舞台とは違います。 *ふじのくに・せかい演劇祭2019作品 *劇団、 https://festival-shizuoka.jp/2019/program/madame-borgia/index.html

■忠臣蔵

■ 作:平田オリザ,演出:宮城聰,出演:SPAC ■ 静岡芸術劇場,2013.12.14-23 ■ 今流行りの「武士の家計簿」「武士の献立」で見るような管理部門が舞台。 その浅野家で家の将来のことを面白可笑しく議論するの。 舞台では切腹という台詞を軽々しく喋っていたけどその心情がよく見えない。 就職や子供の塾通いの話と切腹や籠城の話が混在している所が面白いけどね。 先日、狂言切腹の「一命」を観たけど、もはや切腹を知らない武士が多いということかしら? 観ていて日本の死刑制度も考えてしまったの。 敵討ちが形を変えて存続しているみたい。 今でも日本人は敵討ちから逃げられないのね。 ところで一力茶屋の踊りは雑だったけど楽しかったわ。 気楽に観れたけどいつもの身体的感動は少ない芝居だった。 平田オリザと宮城聰の微妙な差異がリズムを壊してしまったのかもしれない。 *CoRich、 https://stage.corich.jp/stage/49355

■真夏の夜の夢

■作:W・シェイクスピア,潤色:野田秀樹,演出:宮城聰,劇団:SPAC ■にしすがも創造舎,2015.10.31-11.3 ■貴族・職人の代わりに割烹料理屋の家族・板前が、そして悪魔メフィストフェレスの登場が原作と違いますね。 簡単な粗筋を読んでおいたので素直にはいれました。 言葉に拘った舞台です。 口には出せなかった恨み妬み憎しみの言葉で悪魔は物語を作っていきます。 この悪魔と対決する娘そぼろが主人公とみました。 彼女が「夏の夜の夢」が何であるかを最後に知る人です。 つまり野田秀樹のメッセージを持つ悪魔からそれを奪い返す人になります。 若者たちの恋愛を温かく見守る分かり易い結論になっている。 ここは宮城聰のメッセージでしょうか?  野田秀樹演出の舞台は観ていないので比較できません。 幕開きと終幕の娘そぼろの口上は存在感がありました。 悪魔のネットリした演技は硬さある他役者との比較が生きて面白い。 パックの観客サービスは苦労していましたね。 紙を丸めたような美術・衣装は立体感があり打楽器演奏と共鳴して夢の森に入って行くことがでました。 *2015年F/T「融解する境界」参加作品 *F/Tサイト、 http://www.festival-tokyo.jp/15/program/spac/

■ばらの騎士

■作:フーゴー・フォン・ホーフマンスタール,演出:宮城聰,寺内亜矢子,音楽:根本卓也,出演:石井萠水,大高浩一,木内琴子ほか,劇団:SPAC ■静岡芸術劇場,2024.1.7-3.10 ■元帥家執事のプレトークを聴く。 オペラ「ばらの騎士」とは似て非なるものらしい。 早速場内へ。 生演奏や歌唱はあるが演劇と言ってよい。 元帥夫人の不倫相手がズボン役のため作品が生き生きしている。 そして夫人の倦怠感が随所に見られる。 ここが作品の要ですね。 しかし舞台は徐々に脱線していく。 引き回すのはオックス男爵ですか? ハチャメチャ過ぎる。 ドタバタ劇が続いていきます。 夫人が霞んでしまい高貴な倦怠の世界へ浸れない。 絶妙な均衡が崩れてしまった。 夫人が語る<時間>や<意識>などの哲学的議論が楽しい。 これはオペラでは演奏と歌唱の裏に隠される。 「時は意識と同じ速さで流れている(だから時は見えない)」「時は見えることがある(それは意識がアンニュイに向かう時)」。 終幕、彼女は時が流れ落ちていくことをオクタヴィアンに諭します。 はたして舞台はオペラと同じエキスを追求していました。 *SPAC2023秋-春シーズン作品 *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、宮城聰 ・・ 検索結果は27舞台 . *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、寺内亜矢子 ・・ 検索結果は2舞台 . *劇場、 https://spac.or.jp/au2023-sp2024/der_rosenkavalier

■ポントの王ミトリダーテ

■作曲:W・A・モーツァルト,演出:宮城聰,指揮:マルク・ミンコフスキ,出演:ペネ・パティ,アナ・マリア・ラービン,アンジェラ・ブラウアー他,演奏:レ・ミュジシャン・デュ・ルーブル ■NHK・配信,2023.5.14-(ベルリン国立劇場,2022.12.9-11収録) ■宮城聰演出とあったので観ることにしたの。 作品を調べると・・、イタリア旅行中の14歳モーツァルトが作曲したオペラ・セリアらしい。 時代は紀元前2世紀、ローマと戦う黒海に面したポントス国が舞台。 王である父と二人の息子が一人の女性を求める物語ね。 モーツァルト初期の作品だがイタリア様式の成果は素直に出ている。 でも物語の濃さに助けられたかな? さすがJ・ラシーヌが原作だけある。 舞台は4 段の雛壇が造られているシンプルな構造。 その背景に琳派風の金箔を用いた絵画を繰り出していく。 戦国時代の兜や刀を付けた歌手の衣装も金ピカよ。 黄金の国ジパングを意識したのね。 演出も強気に出ている。 それは中国や東南アジアへ繋がっているから。 でも雛壇が低いので歌手が身をかがめて出入りするから観ていて窮屈なの。 狭苦しいのも日本風だが、4段から3段にすれば歌手の動きに余裕ができたと思う。  モーツァルト+ラシーヌ+アジア文化。 この違いのある3点を結びつけるのに演出家はP・クローデルを意識したんじゃないかしら? 面白い舞台だったわ。 *NHK、 https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2023128047SA000/

■真夏の夜の夢

■作:W・シェイクスピア,潤色:野田秀樹,演出:宮城聰,出演:SPAC ■静岡芸術劇場,2011.6.4-5 ■木々と梯子で奥行と縦の立体感を出しグレー系の落ち着きのある舞台美術。 衣装も料理屋従業員の白から、妖精達の灰色、メフィストフェレスの黒までの無色、そしてそぼろだけワイン色なのは彼女の夢だったから? 野田の言葉優先から来る緊張感ある舞台と違って宮城の言葉と身体を対等に置く表現は落ち着きのある宇宙を作り出している。 メフィストの登場で善悪・恋愛・人生などを反芻することができて、観客は物語に深く分け入りながら進んでいくことができるの。 最後に恋愛の行き違いから森を失ってしまうのをみて人間の些細な出来事の積み重ねが歴史だと見えてくる。 「 グリム童話 」と違って今回はちょっと複雑。 だから観後の帰り道に舞台を思い返すごとに充実感が増していくのね。 *劇場、 http://www.spac.or.jp/11_fujinokuni/nightsdream.html

■冬物語

■原作:W・シェイクスピア,演出:宮城聰,音楽:棚川寛子,劇団:SPAC ■静岡芸術劇場,2017.1.21-2.12 ■黒銀色に統一された舞台の美術と構造に先ずは感動しました。 目は自ずと舞台中心を見上げながら天に登っていく感じです。 同時に地下の暗闇に落ちていくようにもみえる。 しかも役者の全視線と同一直線上でぶつかっているようで集中力が湧き出てくる。 これらが混ざり合って目眩が襲って来るのです。 美術だけではなく二人一役の役者構造も面白い。 文楽でいう太夫と人形遣いに似ている。 とはいっても役者自身が人形であり人形遣いですが。 観ていて役者は科白を喋らなくて楽だなあと思いました。 役者が持て余して大袈裟な身振りにならないように動作を「人形振り」に制限している(そのようにみえてしまった)。 演出ノートには「言葉は身体の外のものであり・・」。 「身体と言葉の違和感・緊張感をそのまま観客に見せたい・・」と書いています。 この為かどうか分かりませんが、あの目眩を伴って舞台にグイグイと引き込まれました。 リオンティーズの嫉妬の強さには参った。 ところで舞台で四人以上が交互に演ずると誰が喋っているのかわからなくなる場面が2回ほどあった。 科白内容で直ぐに結び付けたのですが初めての経験ですね。 それと言葉と身体が離れた違和感かもしれないが長くみていると飽きてくるのです。 観客の緊張が続かない。 この方法は観客にも役者にも負荷がかかる。 役者も一瞬一瞬の緊張が大きい。 マイムや人形とは何かが違います。 中高校生鑑賞事業公演日では前半に居眠をする中高生が多かったのでしょう。 休息を挟んだ後半は雰囲気がガラリと変わってしまった。 解説場面が増えてしまい前半に現れた多くの謎が宙づりのままになってしまった。 原作通りかもしれないがオートリカスの話で要約され、そのままパーディタの登場まで一直線です。 「必ず春は来る」、「信じることさえできたなら」。 チラシのフレーズだけが残ってしまった。 ところで語り手の見台や座り方が浄瑠璃をそのまま持ってきたようです。 これが舞台のダイナミックな流れを止めていたようにみえる。 柔軟な配置をしたら違った謎が出てより深みに嵌ったかもしれない。 ともかく色々考えさせられる舞台でした。 *CoRich、 https://stage.cori...

■メフィストと呼ばれた男

■作:トム・ラノワ,演出:宮城聰,劇団:SPAC ■静岡芸術劇場,2015.4.24-26 ■なぜ自由席なのか場内に入って分かったの。 舞台の一部を客席に、同じように客席の一部を舞台にしたからよ。 主人公はベルリン国立劇場芸術監督兼俳優クルト・ケプラ。 観客は実舞台の上で国立劇場で繰り広げる物語を体験することになるのね。 稽古場面では劇団員になったような感覚に陥ってしまったわ。 でも役者が正面向かって喋ってくれないから台詞の一部が聞こえ難い。 広い客席を取り込んだから集中できないのが欠点ね。  1932年、ナチス文化大臣が現れクルトが監督として劇場を維持していくことになる。 同僚の亡命や粛清が続いていくけど1945年、ナチス文化大臣が自殺しソビエト文化大臣が着任したところで幕が下りる。 「すべて自由にやりたまえ! 少しは国家の意向も取り入れてくれればそれでいい・・」。 ソビエト文化大臣の芸術監督への挨拶もナチス時代と同じね。 シェイクスピアやチェーホフの多くの作品が議論され上演されるの。 その場面がストーリーにどう関係するのかを考えてしまうので楽しいけれど疲れる。 特にクルトの心情が劇中劇に表現されているからよ。 「・・腐っている」と叫び続けるクルト。 でもここに到達するまでの心の揺れがみえない。 帰りにチラシ「抵抗と服従の狭間で」を読んで舞台上クルトは実在人物に近いことを知ったの。 不安しか持てないクルトは結局ナチスに加担していく。 この消極的希望がクルトを見えなくしていたのね。 亡命を決意し粛清と戦うには不安を越える何かが必要なのかも。 熱く演じるけど冷めて届くという舞台だった。 *CoRich、 https://stage.corich.jp/stage/63548

■2010年舞台ベスト10

□ 銀河鉄道の夜   演出:鴨下信一,出演:白石加代子 □ ペール・ギュント   演出:宮城聰,劇団:SPAC □ 東京裁判三部作(夢の裂け目、夢の泪、夢の痂)   演出:栗山民也,制作:新国立劇場 □ 空白に落ちた男   演出:小野寺修二,出演:首藤康之,安藤洋子ほか □ ジーンズ   演出:佐野木雄太,劇団:銀石 □ 肉体の迷宮   演出:和栗由紀夫,関典子,舞団:好善社 □ 田園に死す   演出:高野美由紀,劇団:A・P・B-TOKYO □ 砂町の王   演出:赤堀雅秋,劇団:THE SHAMPOO HAT *並びは上演日順。 選出対象はこのプログに書かれた作品(感想文無いものあり)。 今年は8作品のみ。 映像は除く。

■2020年舞台ベスト10

□ 鶴かもしれない2020   演出・出演:小沢道成 □ サイレンス   作曲・台本・指揮:アレクサンドラ・デスプラ □ 少女と悪魔と水車小屋   演出:宮城聰,劇団:SPAC □ 少女仮面   演出:杉原邦生,出演:若村麻由美ほか □ 亡霊たち、再び立ち現れるもの   演出:毛利三彌,劇団:CAPI □ 夏の夜の夢   演出:レア.ハウスマン,指揮:飯森範親 □ フィガロの結婚、庭師は見た!   演出:野田秀樹,指揮:井上道義 □ M   演出:モーリス・ベジャール,舞団:東京バレエ団  □ アルマゲドンの夢     演出:リディア・シュタイアー,指揮:大野和士 □ 外地の三姉妹   演出:多田淳之介,劇団:東京デスロック *並びは上演日順。 当ブログに書かれた作品から選出。 映画(映像)は除く。 *「 2019年舞台ベスト10 」

■工場

■脚本・演出:堀川炎,出演:石川彰子,中藤奨,堀川炎ほか,劇団:世田谷シルク ■こまばアゴラ劇場,2019.8.13-18 ■会社の事務室が舞台のようです。 それも工場らしい。 ストーリーは日常業務に沿って展開していく。 ラジオ体操や朝礼、企業理念唱和、節電・消灯、掃除。 防災訓練から始末書の書き方まで登場するとは・・。 20世紀高成長時代の日本にも見える。 これだけの作業を並べて、作者も経験があるのでしょうか? ここに外国人が入社してくる。 彼は不都合な業務規則に違和感を持ちます。 それは日本人の生き方にまで疑問を持つ。 時代が現代まで下りましたね。 この劇団は初めてです。 舞台の雰囲気が変わっている。 静かな演劇に入りますがどこか緊張感が漂っている。 科白が短い為それだけリアルに近づけるのかもしれない。 日常業務の行動に付随する言葉は短いですから。 それと役者が周囲を見つめる時の眼差しが効いています。 目付き鋭い。 観客を飽きさせない工夫が随所にみられる。 終幕の狂ったように踊りだすのもオチとしては申し分ない。 面白く観ることができました。 アフタートークがありました。 出席は堀川炎、宇吹萌(うすいめい)。 前作「春夏秋冬」と違いセリフ劇として今回は押し出しているようです。 宇吹は机の白だとか電灯などの美術も誉めていました。 そう、悪くはありません。 それと堀川自身のダンスもよかった、5秒くらいでしたが。 彼女の役者登場は久しぶりとのこと。 と言うのは平田オリザや宮城聰が良い顔をしないらしい。 その理由は聞き漏らしてしまった。 ところで全員がタブレット端末を持っているフリをしていたが分かり難い操作でしたね。 宇吹のこの秋のスズナリ公演作品を紹介して終わりました。 *青年団リンク公演 *CoRichサイト、 https://stage.corich.jp/stage/101012

■2019年舞台ベスト10

□ トロンプ・ルイユ   演出:野木萌葱,劇団:パラドックス定数 □ なのはな   演出:倉田淳,劇団:スタジオライフ □ 恐るべき子供たち   演出:白井晃,出演:南沢奈央ほか □ シベリアへ!シベリアへ!シベリアへ!   演出:三浦基,劇団:地点 □ 実験浄瑠璃劇,毛皮のマリー   演出:加納幸和,劇団:花組芝居 □ ジャンxKeitaの隊長退屈男   演出:ジャン・ランベール=ヴィルド,出演:三島景太 □ 怪人二十面相   演出:山口茜,劇団:サファリ・P □ あつい胸さわぎ   演出:横山拓也,劇団:iaku □ 寿歌   演出:宮城聰,劇団:SPAC □ 冒した者   演出:野村眞人,劇団:速度 *並びは上演日順。 当ブログに書かれた作品から選出。 映画(映像)は除く。 *「 2018年舞台ベスト10 」

■ハムレット

■作:W・シェイクスピア,翻訳:小田島雄志,演出:宮城聰,出演:武石守正,春日井一平,貴島豪,たきいみき他,劇団:SPAC ■静岡芸術劇場,2021.2.6-7 ■俳優がマスク姿で登場したのには驚きました。 もちろんハムレットもガチでマスク!? コロナ禍の生舞台でのマスクは初めてです。 役者同士の感染防止策として理解できるが、やはり芝居の面白さは半減しますね。 しかも舞台には半透明の垂れ幕が掛かっている。 人物の微妙な表情が見えない。 向き合う場面では離れすぎて立ち位置が不安定にみえる。 途中、王殺しの劇中劇を観ながら・・、今回は全てを仮面劇で通したら<マスク無し>になるのでは? 又は得意手法のスピーカーとムーバーに分離すればムーバーは<マスク無し>で演技できるのでは? こうなったら健康管理を徹底して(映像は舞台とは別物だが)無観客WEB配信でいくしかない? ・・・などなど代替案を考えてしまった。 帰りの新幹線ではいつもやって来るはずの観後の心地よい酔いに浸れませんでした。 *SPAC秋→春のシーズン2020-2021作品 *劇場、 https://spac.or.jp/au2020-sp2021/hamlet_2020

■ミヤギ能オセロー、夢幻の愛

■原作:W・シェイクスピア,謡曲台本:平川祐弘,演出:宮城聰,出演:SPAC ■静岡芸術劇場,2018.2.11-3.11 ■「オセロ」を夢幻能にした驚きの内容だった。 前場では女3人を引き連れた老婆らしき人物が僧と昔話を始める。 女の言葉は地謡が多くを担当するの。 ワキの僧と地謡が語り合う風景描写が素晴らしい。 能が得意な言動分離だからこの手法が自然にみえる。 女たちはそのまま囃子方にもなる。 役者の動き、地謡や演奏を含め場面展開に無駄がないわね。 囃子もグッと抑えて叙情豊かに響く。  中入りで男優たちが揃い現代語訳で物語を進めていく。 オセロやキャシオー、イアーゴは地謡がそのまま変身よ。 役者が役割を変えていく流れが面白い。 顔と着附が日本語で袴は英語の文字衣装がまた楽しい。 背景の瘤付ロープが照明に当たるとお経の文字列に見えてくる。 そして後場でデズデモーナの霊が登場しオセローとの愛を語る・・。 囃子も笛が入って高揚し、地謡はオノマトペのようにも聞こえてくる。 複雑だけどとても練れている構造だわ。 「オセロ」になぜ感動するのか? 「首を絞められるデズデモーナがその瞬間にこそ最もオセローに近づいていた。 この一瞬こそが人生で最も大切な時間となり・・」。 凝縮した愛と嫉妬の融合を演出家はこのように言っている。 そして恋愛の掟として「相手を<信じる>以外にない」と。 この言葉通りにオセロとデズデモーナが愛を超えたことを直観するから「オセロ」に感動するの。 それでもデズデモーナが霊としてこの世にやってくるのは何故なのか? 「デズデモーナよ成仏して」と言ってやりたい。 イアーゴのことはもう終わった。 「オセロ」は「オセロ」を超えられるか?がこの作品の課題かも。 でも凝り過ぎて「オセロ」のその先へ辿り着けたのかは疑問ね。 *劇場、 https://spac.or.jp/au2017-sp2018/othello_2017

■グリム童話-少女と悪魔と風車小屋-

■作:オリヴィエ・ビィ,演出:宮城聰,出演:SPAC ■静岡芸術劇場,2011.3.5-13 ■父が悪魔に娘を与える契約をしてしまうが娘は両手を切り落とし旅に出る。 娘は王と一緒になり子供を産むが再び悪魔の謀で娘は子供と森へ逃げる。 しかしさいごに父や王と喜びの再開をする。 そして両手も再び甦る・・。 感動ある死と再生の物語ね。 舞台は白一色。 悪魔だけが黒よ。 木々や動物はもちろん衣装の一部も紙でできているの。 打楽器のシンプルな演奏は物語にマッチしている。 人形のような動きとセリフの、動かないダンスをみているような役者。 舞台は玩具箱をひっくり返したようね。 天使と悪魔は科白も動きも切れがあった。 照明のコントラストも良かった。 細かいところにも気を使っているのが伝わってくる。 総合力で勝負している芝居だわ。 そして奇跡の物語は別格ね。 *CoRich、 https://stage.corich.jp/stage/25169

■イナバとナバホの白兎

■演出:宮城聰,出演:SPAC ■静岡芸術劇場,2019.6.8-9 ■ケ・ブランリ美術館*1とC・レヴィ=ストロースとSPACのコラボ作品と言える舞台です。 レヴィ=ストロースも論じた「因幡の白兎」と北米先住民ナバホ族の神話「双子、水を渡る」「太陽の試練」を前半で演じ、後半はSPACのスタッフ・キャストがこれら神話を結び付け創作した共同台本でまとめている。 同じようなストーリーを3回観ることになります。 全体を祝祭音楽仮面劇として仕立てている。  「因幡の白兎」は東南アジアの古典舞踊を見ている錯覚に陥ってしまう。 それはオオナムチ(大国主神)や八上姫が仏像のようなマッタリ仮面を被っていることやガムラン風に聴こえる打楽器演奏からです。 またナバホ族神話は南北アメリカ大陸のどこかで見たような古代文明風な仮面が登場します。 「因幡の白兎」は世界のどこでも探すことができると言うことでしょう。   後半は仮面を脱いで演技をするのでより時代が近づいてくる。 物語は農耕と太陽の深い関係を描いている。 自然の恵をどのように使うのかを問うているようです。 そして地謡のようなコーラス、能のような動きもあり、それは脇能に近い。 レヴィ=ストロースも登場したが彼の宣伝にみえた。 毛筆で説明をする場面も同じです。 書道の紹介にみえる。 所々にコマーシャル臭さが有る舞台は美術館からの依頼用の為かもしれない。 この作品の一番の見所は役者を演者と話者に分け、そこに演奏者を入れた三者のハーモニーが際立っていたことでしょう。 アフタートークは都合で省いてしまったが、青木保の文化人類学と舞台の関係は聞きたかった。 *1、「 マスク展 」(庭園美術館,2015年) *劇場サイト、 https://spac.or.jp/2019/inaba-navajo2019

■2016年舞台ベスト10

□ 城塞   演出:眞鍋卓嗣,劇団:俳優座 □ 黒蜥蜴   演出:宮城聰,劇団:SPAC □ カルメン   演出:金森穣,舞団:Noism □ イェヌーファ   演出:クリストフ.ロイ,指揮:トマーシュ.ハヌス □ 安全区、堀田善衛「時間」より   演出:獄本あゆ美,出演:メメントC □ 夢の劇、ドリーム・プレイ   演出:白井晃,台本:長塚圭史,振付:森山開次 □ 887   演出・出演:ロベール.ルパージュ □ Cross Transit   演出:北村明子,ドラマトゥルク:キム.ハク,音楽:横山裕章 □ Woodcutters伐採   演出:クリスチャン・ルパ □ 治天ノ君   演出:日澤雄介,出演:劇団チョコレートケーキ *並びは上演日順。 選出範囲は当ブログに書かれた作品。 映像と美術は除く。 * 「2015年舞台ベスト10」

■寿歌

■作:北村想,演出:宮城聰,出演:奥野晃士,たきいみき,春日井一平,劇団:SPAC ■静岡芸術劇場,2019.10.12-26 ■舞台はゴミ処理工場に見える! そこへ旅芸人ゲサクとキョウコがリヤカーを引いて登場。 空にはリチウム弾道ミサイルがコンピュータ誤作動で未だ飛び交う。 核戦争後の物語はSFでは恰好の材料ね。 舞台でも時々出会う。 廃墟の中、二人は漫才をしながら冗談を言いながら歌い踊りながら旅を続ける。 途中ヤスオに出会い3人で歩き出す・・。 3人の科白の掛け合いがとてもいい。 エッジが効いているの。 発声だけではなく身体の動きも。 リアルなため廃墟が余計目に沁みる。 涙が出て来ちゃった。 これは日本版「ゴドーを待ちながら」だと思う。 カミと出会えたのは核戦争で世界が御破算になったから。 カミも人間並みになってしまったと言うことね。 何度も観ている作品だけど、いつもリヤカーしか舞台には置いてないの。 何もない空間が多い。 今回のように大がかりな美術は初めてよ。 中高生鑑賞事業のための生徒へのサービスかな? SF映画の一コマに近づいている。 でもどちらでもよい。 終末世界の3人がとても懐かしく輝いていたからよ。 *SPAC秋のシーズン2019作品 *劇場サイト、 https://spac.or.jp/au2019-sp2020/ode_to_joy_2019

■2015年舞台ベスト10

□ 身毒丸、説教節の主題における見世物オペラ   演出:J.A.ジーザー,劇団:演劇実験室◎万有引力 □ さまよえるオランダ人   演出:M.F.シュテークマン,指揮:飯守泰次郎 □ グスコーブドリの伝記   演出:宮城聰,劇団:SPAC □ 觀-すべてのものに捧げるおどり-   演出:林麗珍リン.リーチェン,劇団:無垢舞蹈劇場 □ アドルフに告ぐ-日本篇、ドイツ篇-   演出:倉田淳,出演:劇団スタジオライフ □ GERMINAL   演出:H・ゴエルジェ,A・ドゥフォール □ 少女仮面   演出:金守珍,劇団:新宿梁山泊 □ BELLE   演出:デボラ.コルカー,劇団:デボラ.コルカー.カンパニー □ 幻祭前夜-マハーバーラタより-   演出:小池博史,出演:小池博史ブリッジプロジェクト □ からたち日記由来   演出:鈴木忠志,劇団:SCOT *並びは上演日順。 選出範囲は当ブログに書かれた作品。 映像と美術は除く。 * 「2014年舞台ベスト10」