■指輪の力、「ニーベルングの指輪」の150年
■出演:マリナ・フレンク,ヴァレンティン・シュヴァルツ,アンドレアス・ホモキ他 ■NHK,2026.8.3(ドイツ,2026年作) ■作曲家ワーグナーの楽劇「ニーベルングの指輪」にまつわる一時間のドキュメンタリー映画である。 音楽家や演出家など多くの舞台芸術家が登場し、「指輪」150年の歴史と社会的影響を語る。 先月鑑賞したROH「 ジークフリート 」の演出家バリー・コスキーの姿も映し出され、個人的な鑑賞経験と映画の内容が自然に重なった。 出演者たちの言葉は多彩で、「脇役を作らない、すべてが主役級である」「ヨーロッパの反ユダヤ主義が読み取れる」「各場面が生と死の瀬戸際にある」など、作品の本質を鋭く突く意見が次々と飛び交う。 なかでも興味深かったのは、ハリウッドへの影響である。「スター・ウォーズ」のルークとレイアはジークフリートとブリュンヒルデ、ダース・ベイダーはヴォータン、そしてフォースは指輪に相当するという指摘は、思わず膝を打つ面白さがあった。 過去の舞台映像も紹介される。 1976年バイロイトのパトリス・シェロー演出では労働者階級が主役となり、2022年同劇場のヴァレンティン・シュヴァルツ演出では家族の物語として再構成され、指輪が子どもに置き換えられている。 2023年チューリヒ歌劇場のアンドレアス・ホモキ演出では寓話=御伽噺として描かれ、さらに近年ではAIを用いた新たな「指輪」も制作されているという。 オペラという枠を超え、音楽・演劇・美術を巻き込んだ総合芸術として、時代ごとに新しい「指輪」が生まれ続けていることを改めて実感した。 長年の「指輪」ファンとして、この豊かな変容を目の当たりにできるのは嬉しい限りである。 *美術展ナビ、 https://artexhibition.jp/topics/news/20260726-AEJ2956480/