■神のみぞ知る死

■作・演出:海路,出演:福田麻由子,朝田淳弥,盛隆二,村上航,太田緑ロランス他
■シアタートラム,2026.9.6-13
■舞台は複数の断片的な場面から始まり、オムニバスのように人物と出来事が並置されていく。 進行とともに、それぞれの人物や話題が少しずつ結びつき、ひとつの物語の核が浮かび上がってくる。
「私はカミである」。 自らを神と称する人々が新たな教団を立ち上げ、奇跡を起こした<神の手>を持つ女子大学生を教祖として担ぎ上げる。 作品の中心には、この奇妙で不穏な構図が据えられているためか、薄暗い照明のなか、舞台全体に謎めいた気配が漂っていた。
観ながらふと、1946年の昭和天皇「人間宣言」を思い出してしまった。 国家神道が支えた「現御神(あらみかみ)」という観念を退け、自身が人間であることを宣言した一つの歴史的転換である。
いつの時代でも人は教祖をつくり、カミからヒトへ、そしてヒトから再びカミへと回帰する<神格化>の運動を繰り返す。 本作は、その循環の危うさを、現代の若者の言葉遣いや生活感の中に巧みに埋め込んでいた。
教祖となる戸塚と宮野、そして死神として登場する大木と新城の恋の破断は、物語の主軸からはやや外れるため淡泊に描かれていたが、それがむしろ作品の<群像劇としての広がり>を生んでいたように思う。
また、劇団イキウメの盛隆二が出演していたことは印象的だった。 「イキウメ」が得意とする<日常の裂け目から異質なものが滲み出す>作劇と、今日の舞台の方向性には確かに近さがあり、両者の美学が舞台上で交差する瞬間がいくつかあり、興味を持って面白く観ることができた。
*劇団papercraft第13回公演