■顕れ-女神イニイエの涙ー

■作:レオノーラ.ミアノ,翻訳:平野暁人,演出:宮城聰,音楽:棚川寛子,出演:鈴木陽代,美加理,阿部一徳,劇団:SPAC
■静岡芸術劇場,2019.1.14-2.3
■女神イニイエに使えるカルンガ役阿部一徳が観客に向かって理解できたか?と質問する。 それだけ分かり難い物語構造で始まります。 アフリカの神々を知るための忍耐が前半は必要ですね。 しかし奴隷貿易に加担したアフリカ人加害者を裁く場面で一転する。 以降は心身が解放されたように舞台に集中できます。 それは被害者と加害者を越えた人間の救済を描くからです。 加害者を裁く作品は多いのですが裁いた後のことが語られない。 演出家の言葉「・・人間に関わることで私に関係のない事は一つもない。」の全方位性がその続きを描けたのだと思います。 観終わって「鎮魂のための祝祭音楽劇」とチラシに書いてあったことに納得しました。
それにしても作者のメッセージ力は強い。 終幕に神々の演説に近い場面があるが演出家が上手くまとめていました。 宮城聰演出の苦労した痕跡が随所にみられる舞台です。 これがまた深みを与えていた。 神を演ずるときのスピーカー(語り手)とムーバー(動き手)の分離は強力に作動しますね。 そして打楽器の演奏がアフリカを一層近づけてくれました。
*パリ.コリーヌ国立劇場共同制作作品
*劇場、https://spac.or.jp/au2018-sp2019/revelation_2018