■マーニー Marnie

■原作:ウィンストン.グレアム,作曲:ニコ.ミューリー,演出:マイケル.メイヤー,指揮:ロバート.スパーノ,出演:イザベル.レナード,クリストファー.モルトマン他
■東劇,2018.1.18-24(MET,2018.11.10収録)
■事務手続きのような歌詞、機械的動きと速さある場面転換、単色系衣装の通勤服、・・この日常の形式優位な舞台に歌唱と演奏が被さるとテンポのある心地よさが伝わってくる。
A・ヒッチコック映画の欠点を取り除いた面白さがある。 映画では精神疾患のマーニーをいつも意識し、夫ラトランドの精神分析医のような演技に馴染み過ぎていた。 この舞台にはそれが無い。 マーニーの多重人格をロボットのように演じて形の面白さとして消化している。 鮮やかな単色衣装もそれに従っている。 彼女が4人の分身を引き連れているから尚更ね。 そして観客は少しずつ鼓動を速めていくの。 キツネ狩りや落馬場面はダンサーたちの動きが楽しい。 マーニーのトラウマとなっていた殺人理由も終幕の驚きね。 それは水兵ではなく弟だった、しかも・・。
マーニー役イゼベル・レナードは映画も観ていないとインタビューで答えていたがそれは正解よ。 演出家マイケル・メイヤーはショーン・コネリーの影響があると言っていた。 でも夫ラトランドがマーニーと結婚したい普通の男にみえたのは作品に落ち着きをもたらしていた。
内容が複雑なのでブロードウェイの知識・技術を取り入れたようだけどこれがMETの強みだわ。 作曲と演出が上手に統合できた成功例ともいえる。 舞台を観る前には想像できなかった。 映画に縛られていたのね。 すべてが想定外の面白さだった。
*METライブビューイング2018作品
*作品サイト、https://www.shochiku.co.jp/met/program/855/