■沓手鳥孤城落月  ■楊貴妃

■作:坪内逍遥,演出:石田耕土,出演:坂東玉三郎,中村七之助ほか
■作:夢枕獏,出演:坂東玉三郎,市川中車
(以上作品名順)
■東劇,2018.1.12(歌舞伎座,2017.10・12収録)
■豊臣家滅亡つまり中世日本の閉幕場面は科白の楽しさに先ずは酔うことができた。 大阪夏の陣、落城寸前の千姫逃亡場面から始まる。 そこへ淀が登場して逃亡を阻止するが徳川の密偵と軍勢に囲まれて最早どうすることもできない。 秀頼が登場し母淀を刺し自害しようとするが・・。
淀の徳川家への恨みの激しさに堪える作品である。 彼女の科白に憎き千姫の名前が終幕近くまで聞こえてくる。 愛情構造が現代と違うのは分かるが千姫は秀頼の妻である。 しかもこの作品は豊臣時代終わりの頁の1行だけを描いている。 このため終幕の母子の情愛が迫って来ない。 秀頼誕生の頃からの豊臣史をじっくり楽しんでいないと作品の面白さが味わえない。 秀頼役中村七之助のキリッとした存在感が目立った。
舞踊「楊貴妃」は中国衣装(?)の楊貴妃坂東玉三郎が素晴らしい。 振付も両国折衷に見える。 ゆったりとした時間が過ぎていく姿はなかなかである。
*シネマ歌舞伎第32弾
*作品サイト、https://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/lineup/39/