■トロンプ・ルイユ

■作・演出:野木萌葱,出演植村宏司,井内勇希,諫山幸治,加藤敦,山田宏平,小野ゆたか,劇団:パラドックス定数
■シアター風姿花伝,2019.1.9-14
■競馬を知らないで寺山修司のファンを名乗るのは気が引けます。 でも知らない観客を裏切らない面白さがある。 それは競馬世界の核心を平易な科白で表現しているからでしょう。 台詞が練れている。 それと馬が喋るからです。 ・・!
役者6人は一人2役で、馬主が、調教師が、厩務員が、予想屋がそれぞれ馬も演じる。 この<人>から<馬>の場面転換がまた素晴らしい。 その逆もです。
つまり馬が喋ることにより物語の急所や裏側に近づくことができる。 子供向けでない舞台で成功しているのは珍しい。 しかも再演だからではなく、作者を含め競馬好きが集まっているとしか言いようがない。
競馬とは何か? この問いに人と馬から答えが語られます。 予想屋は言う。 「馬券を買うのではなく己自身を買うんだ」。 競馬には人生が詰まっていますね。
観客の8割は20代後半の女性ですか。 演出家への信頼が高い証拠です。 ところでタイトル名のここでの意味がよく分かりません。
*パラドックス定数第44項
*CoRichサイト、https://stage.corich.jp/stage/97216