■ポントの王ミトリダーテ

■作曲:W・A・モーツァルト,演出:宮城聰,指揮:マルク・ミンコフスキ,出演:ペネ・パティ,アナ・マリア・ラービン,アンジェラ・ブラウアー他,演奏:レ・ミュジシャン・デュ・ルーブル
■NHK・配信,2023.5.14-(ベルリン国立劇場,2022.12.9-11収録)
■宮城聰演出とあったので観ることにしたの。 作品を調べると・・、イタリア旅行中の14歳モーツァルトが作曲したオペラ・セリアらしい。 時代は紀元前2世紀、ローマと戦う黒海に面したポントス国が舞台。 王である父と二人の息子が一人の女性を求める物語ね。
モーツァルト初期の作品だがイタリア様式の成果は素直に出ている。 でも物語の濃さに助けられたかな? さすがJ・ラシーヌが原作だけある。
舞台は4段の雛壇が造られているシンプルな構造。 その背景に琳派風の金箔を用いた絵画を繰り出していく。 戦国時代の兜や刀を付けた歌手の衣装も金ピカよ。 黄金の国ジパングを意識したのね。 演出も強気に出ている。 それは中国や東南アジアへ繋がっているから。
でも雛壇が低いので歌手が身をかがめて出入りするから観ていて窮屈なの。 狭苦しいのも日本風だが、4段から3段にすれば歌手の動きに余裕ができたと思う。 
モーツァルト+ラシーヌ+アジア文化。 この違いのある3点を結びつけるのに演出家はP・クローデルを意識したんじゃないかしら? 面白い舞台だったわ。