■能楽堂五月「貰聟」「班女」

*国立能楽堂五月普及公演の□2舞台を観る.
□狂言・和泉流・貰聟■出演:井上松次郎,佐藤友彦,今枝郁雄
□能・観世流・班女■出演:浅井文義,宝生常三,大日方寛ほか
■国立能楽堂,2023.5.13
■「貰聟(もらいむこ)」は「夫婦喧嘩は犬も喰わない」、つまり夫婦の喧嘩を他人が仲裁したり心配するのは愚かなことだと言っている。 夫と妻その舅の3人が登場する。 けっこうリアルな演技で引き込まれる。 「室町時代ホームコメディ」らしい。
「班女(はんじょ)」のプレトーク「狂うことと舞うこと」(横山太郎)を聞く。 いかに遊女に舞をさせるか? 狂から舞へは一直線にはいかない。 当時の遊女の立ち位置から説き、世阿弥の苦心の跡を考えていく内容だった。
久しぶりに正面席で観る、いつもは脇正面だが。 正面席は謡がバックコーラスのように聴こえるのが良い。 逆に囃子は脇席のほうが立体的に聴こえる。 笛はどの席でも同じだ。 また正面席はシテの前後の動きが単調にみえて平面的になる。 つまり脇正面席は謡もワキもシテと同じ濃さに感じられる。 どちらが良い席なのか?一概には決められない。