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■悪役志願

■作・演出:赤澤ムック,出演:黒色綺譚カナリア派 ■座高円寺,2010.8.20-26 ■時代は売春防止法施行の1950年代のようです。 舞台はレトロな感じがでています。 娼婦は明るさが満ちています。 セリフもハキハキした調子で快く響きました。 しかしストーリは途中から予期せぬ方向に進みます。 勤め人ハシと妹テコの結婚式で幕が閉じます。 娼婦たちが去ったあとから戯曲に疲れが出ていてとても残念です。 観劇翌日になんと、赤澤ムックは女性だと知りました。 結婚式の終幕や勤め人ハシに父娘関係が表れているのはこの為でしょうか。  そして美術が新宿梁山泊に似ていると感じたのは唐十郎の系列のためでしょうか。 タイトルの意味がよくわかりません。 すべての役者が悪人も悪役も持っていたように見えたからです。 黒色綺譚を観たのは初めてですが、唐十郎であるカラスの衣を纏ったカナリアのような芝居をする劇団とみました。 *CoRichサイト、 https://stage.corich.jp/stage/21856

■フーガの技法とオイリュトミー

■演出:笠井叡,演奏:高橋悠治 ■吉祥寺シアタ,2010.8.22-23 ■暑さが残る夕方でしたが、涼しそうな衣装やすべるような動きを見て汗がひっこみました。 男性ダンサーは体格が良いので女性がみすぼらしくみえました。 しかも男性は腕の伸ばしがハッキリしていて余計大きく見えたのも原因のようです。 フーガの技法で振付をするのは誰にでもできそうな音楽ですが展開を意識し深みに到達することは容易ではないように思います。 残念ながら中途半端な踊りに見えました。 いつもはグレン・グールドのCDを聞いているせいか高橋悠治のピアノは聞きづらかったです。 *CoRich、 https://stage.corich.jp/stage/22314

■ロックンロール

■作:トム・ストッパード,演出:栗山民也,出演:市村正親,秋山菜津子,武田真治 ■世田谷パブリックシアタ,2010.8.3-29 ■ロックンロールで塗りつぶされていると思いきや外れてしまいました。 途中休憩をはさみラスト直前まであくびがでる芝居です。 ストーリを長い時間で熟成させそれを最後に開花させる流れを取っています。 上演3時間の最後30分でやっと舞台に集中できました。 プラハ、ケンブリッジ、共産主義そしてロックンロールもテーマの飾りです。 教授と教え子の関係は感動する深みまで到達できていません。 他の登場人物の関係も同じです。 トム・ストッパードは初めてです。 プラハとロックを繋げて共産主義を論じるのはさすがですが、面白さが希薄なのは人物関係に劇力を与えられなかったからでしょ。 そして彼は言葉をこねくりまわし生身の俳優が舞台にいることも忘れているように見えます。 これでは演出家もフォローできないとおもいます。 役者たちは控え目で全体を引き締めていてとても良かったです。 市村正親は舞台で初めて見ましたがセリフで聞き取り難い場面があった。 仲代達矢をゆるくしたような俳優にみえました。 *劇場サイト、 https://setagaya-pt.jp/theater_info/2010/08/post_185.html

■UTSUSHIMI

■演出:蝉丸,出演:黒藤院 ■神楽坂・シアターイワト,2010.8.6-8 ■夕食後に行ったので途中眠くなってしまい、ウツラウツラしながら観てしまった。 舞台が狭いので4人も登場すると振付に制約が出てしまう。 結果、手をバタバタしているだけの場面があった。 生演奏はよかったがリズムが出過ぎていてこれに身体が絡めとられ不自由さが増してしまったようにも見えた。 舞踏の無駄は面白みを増す場合もあるが、今回はもっと削ぎ落せば展開にメリハリが付いたと思う。 劇場の座布団がビニール製のため席をたったら汗でパンツまで濡れていた。 夏は通風の良いのにしてほしい。

■空白に落ちた男

■作・演出:小野寺修二 ■パルコ劇場,2010.7.24-8.3 ■笑いのある心地良いリズムで80分を観てしまった。 首藤康之は舞台上で何を考えているのかわからなくて不気味だ。 小野寺修二は顔に現れるので瞬時に何をしたいのかが分かる。 この二人のボケとツッコミが出会って面白さが倍増した。 藤田善宏は近藤良平に似てるし、藤田桃子は顔も日常的だし・・、5人の個性が程良くバランスが取れて舞台に安定感があった。 テーマから外れるが数分でよいから安藤洋子のソロが見たかった。 予備知識無しで見たのでストーリがよくわからない。 簡易なあらすじを配れば親切だったろう。 ひさしぶりのパルコ劇場だったが昔と比較して場内が小さく感じた。 ここのロビーは劇場を取り囲み赤絨毯で椅子もあり食事もでき巾が狭く祝祭的な感じが出ていて歩くと楽しい。 場内の椅子も座り易い。 *CoRich、 https://stage.corich.jp/stage/20452

■翼TSUBASA

■振付・出演:森山開次 ■世田谷パブリックシアター,2010.7.23-25 ■鼻高い面をつけて観客席から道草をしながら舞台へ上がる最初のシーンはとても素晴らしい。 踊りもしなやかさがあり観ていて気持ちがいい。 途中のピアノとのやり取りも面白い。トランペットがリズムを乱すのも心地良い。 猛暑の中、舞台で雪が飛び散るのはとても嬉しい。 しかし途中10分くらい眠くなってしまった。 50分くらいにまとめもっと集中すれば濃くなる舞台になると感じた。 先日の「鷹の井戸」そして本日の2回しか観ていないが起伏が滑らかなそして表面が細かく修飾された踊りをするダンサーだと見ました。 骨格を太く建ててそれを前面に押し出すような踊りを中心に加えるとより前進するかなあ。 *劇場、 https://setagaya-pt.jp/theater_info/2010/07/tubasa.html

■シラノ・ド・ベルジュラック

■作:エドモン・ロスタン,演出:鈴木忠志,劇団:SCOT ■新国立劇場・中劇場,2010.7.16-18 ■歌舞伎を現代風にしたような舞台です。 セリフも少し古い言葉でしゃべるので精神を集中して観ていないと置いてきぼりをくいます。 勝手に想像しながら道草をする余裕がない芝居です。 しかし俳優の喋り方や動きの流れにうまくはまり込むと芝居の感動・面白さが見えてきます。 演後パンフレットを読むとストーリはシラノの幻想であり、シラノという人物も別人という設定だと知りました。 しかしこのような複雑さは観ている時には意識していなかつたし面白さには影響がないように思えます。 ところで手紙=書き言葉にシビレてしまう女性はいつの時代にもいますよね。 *劇団サイト、 http://www.scot-suzukicompany.com/works/04/

■エネミイ

■作:蓬菜竜太,演出:鈴木裕美,出演:高橋一生,高橋由美子,梅沢昌代ほか ■新国立劇場・小劇場,2010.7.1-18 ■全共闘活動家2名が40年ぶりに訪れた大学時代の同志とその家族を巻き込んでいく話である。 職業について考えてしまった。 リストラ推進の仕事をしていた父の性格・人生観が職業で変化するなど普通には考えられない。 コンビニの交代勤務計画作成もそうだ。 またゲームプログラム作成工程も警察官の行動も疑問だ。  このような労働内容はイレギュラーとしてはあり得るが現実とは大きくズレている。 企業組織とそのコミュニケーション下で働く姿が見えてこない。 活動家に父の仕事内容を息子に向かって否定的に言わせているがこれでは活動家もたまったものではない。 しかも<職業>としての活動家は家庭を持ち現実的に生活しているものが多い。 想像力を膨らますのはよいがあらぬ方向に膨らましすぎている。 母のセリフ「何が問題なの?」は方向が見えなくなったこの芝居に対する批判だ。 エネミイは仕事=職業の中にある(?)とこの芝居は言っている(?)が、これではエネミイは見つからない。 *劇場サイト、 https://www.nntt.jac.go.jp/play/20000210_play.html

■羯諦羯諦

■出演:真言聲明の会,音楽:高田みどり,構成:鈴木忠志 ■新国立劇場・中劇場,2010.7.2-3 ■高野山聲明は初めてである。 馴染みの曲では般若心経のみであった。 高田みどりが打楽器を舞台にならべ好きなようにたたいたり、鈴木忠志の車椅子が登場するが、実際の聲明を演ずる環境がどのようなものなのかまったくわからない。 葬儀を思い出してしまった。 音楽はもっとリズムのあるほうが合いそうだ、聲明だけを聞いた方が面白そうだ、謡曲のほうがもっと心地良いが、能を観に行ったほうがよかったかな・・、と観終わってからおもった。 *(SPACサイト)、 http://www.spac.or.jp/09_spring/suzuki.html

■ザ・キャラクター

■演出:野田秀樹,出演:宮沢りえ,古田新太ほか ■東京芸術劇場・中ホール,2010.6.20-8.8 ■時空を駆け巡る速さ、そして俳優の動きや台詞の妙味にいつもの良さが出ていた。 カミは抽象すぎる言葉だ。 旧作品の具体性のあるキルと比較してしまった。 書き言葉は芝居に合わない。 書道は苦肉の策か? 文字を観客に見せる芝居は好かない。 ここは井上ひさしの芝居と比較してしまった。 新興宗教も報道カメラやテレビも古すぎる。 まとまりの無い芝居だったがこれは次への実験劇か? しかし美術・映像・振付はとても良かった。 帰りにプログラムを買ったが椎名林檎の替わりに黒田育世の振付記事などを載せるのが相応だろ。 *劇団、 https://www.nodamap.com/site/play/37

■鷹の井戸

■作:W・B・イェイツ,演出:梅若六郎,出演:梅若玄祥,森山開示,ヤンヤン・タン ■国立能楽堂,2010.6.26 ■梅若玄祥はさすがに存在感が有る。 森山開次の踊りもしなやかなまとまり方をしていた。 出演者は能舞台の本性から逃れることはできない。 骨と皮だけで目がギョロリンのヤンヤンタンは雌鷹が似合う。 しかし彼女の視線が定まらなかったのは能舞台の不慣れからだろう。 目の回りの化粧を控え目にしたらもっと安定した舞台に見えたはずだ。 素直な欲望の物語だから舞と謡をバネにして自由に想像の世界を飛び回ることができる作品である。 コラボの面白さが十二分に出ていた。

■夢の痂

■作:井上ひさし,演出:栗山民也,角野卓造,小林隆,福本伸一ほか ■新国立劇場・小劇場,2010.6.3-20 ■井上ひさし得意の、しかも日本人なら避ける「天皇ごっこ」の劇中劇だ。 それも観客が劇構造を意識していながらハマってしまう質の良さがある。  井上ひさしはあらゆるタイプの観客を無視しないで楽しませてくれる。 舞台も家の中の暗さと外の白い照明が日本の懐かしい夏を思い出させてくれる。 言葉の優位が過ぎる場面がある。 例えば文法の話は何回も出てクドイし、劇中劇を主語入替に強引きに対応さようとする。 しかし音楽が緩衝材になりそれを和らげてくれる。 最後まで戦争責任というテーマはブレていない、見応えのある三部作であった。 *NNTTドラマ2009シーズン作品 *劇場サイト、 http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000213_play.html

■めぐるめく

■演出:桑原裕子,劇団:KAKUTAほか ■シアタートラム,2010.5.21-30 ■これも初めてみる劇団で楽しみにしていた。 会場に入ると表現主義映画にでてくるような変形がかった階段・ベンチ・壁・窓が青白く塗られていて期待が高まる。  俳優がよく歩くので心地良いリズムが舞台に出ている。 ただしストーリーがありきたりの家族劇を抜け出ていないので、もちろん起伏はあったが、これではテーマの質をより深めていかないと壁にぶつかるのではないか?  KAKUTAの意味がよくわからないが角ばっていたので男性的な芝居だと思いきや、演出も女性のようだ。 最初から家族劇を狙っていたことも後でパンフレットを見てわかった。 しかし家族劇の好きな人には当たり障りのない良い芝居かもしれない。 *劇場、 https://setagaya-pt.jp/theater_info/2010/05/post_184.html

■アンダーグラウンド

■演出:タニノクロウ,出演:マメ山田,五十嵐操,上田遥,劇団:庭劇団ペニノ ■シアタートラム,2010.6.6-13 ■初めてみる劇団で楽しみにしていた。 「手術」は患者にとって異次元の世界だが医者からみればありきたりの日常世界だし健康者には無関心世界だ。 料理のしかたによっては面白い芝居ができると思う。 しかし時間が過ぎてもただ「手術」の演戯をしてるだけだ。 台詞もきわめて少なく会話の面白さも無い。 音楽も芝居と無関係に聞こえる。 だんだん失望が濃くなってくる。 グロテスクはかまわないが高校の文化祭のレベルで見世物小屋でおこなうような内容だ。 舞台を見ながら席に座っているのが嫌になってきてしまった。 帰りの世田谷線の車内でパンフレットを読んだら「手術というテーマの発想の勝利でいい意味で期待を裏切ってくれる」と阿部篤志が書いていたがしかし、悪い意味でと訂正したほうがよいだろう。 *劇場、 https://setagaya-pt.jp/theater_info/2010/06/post_188.html

■イデソロリサイタル

■振付・出演:井手茂太 ■青山円形劇場,2010.3.18-22 ■イデビアン狂うファンとしてソロを見ておいたほうが良いとおもい青山に足を運びました。 舞台に突然背広姿の中年メタボサラリイマンらしき人が飛び出してきたので劇場職員が誤って上がってしまったかと思ってよく見たら井出茂太でした。 中年メタボのため見ていても踊りが重い重いどこまでも重い感じで、このような体感は初めてです。 途中からユウモアが出てきたので重さをなんとか乗り越えることができました。 バッハの曲を所々入れていましたが全くのミスマッチです。 これは別の曲に替えるべきですね。 ソロ公演というのは遊びか真剣のどちらか両極端になりがちですが、今回は息抜きに見えました。 でも素顔がよく見えてイデビアンクルウに一層親しみが湧きました。 *CoRich、 https://stage.corich.jp/stage/19729