■夢の痂

■作:井上ひさし,演出:栗山民也,角野卓造,小林隆,福本伸一ほか
■新国立劇場・小劇場,2010.6.3-20
■井上ひさし得意の、しかも日本人なら避ける「天皇ごっこ」の劇中劇だ。 それも観客が劇構造を意識していながらハマってしまう質の良さがある。 
井上ひさしはあらゆるタイプの観客を無視しないで楽しませてくれる。 舞台も家の中の暗さと外の白い照明が日本の懐かしい夏を思い出させてくれる。
言葉の優位が過ぎる場面がある。 例えば文法の話は何回も出てクドイし、劇中劇を主語入替に強引きに対応さようとする。 しかし音楽が緩衝材になりそれを和らげてくれる。
最後まで戦争責任というテーマはブレていない、見応えのある三部作であった。
*NNTTドラマ2009シーズン作品
*劇場サイト、http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000213_play.html