■英国万歳!

■作:アラン.ベネット,演出:アダム.ペンフォード,出演:マーク.ゲイティス,エイドリアン.スカーボロー他
■シネ.リーブル池袋,2019.5.31-6.6(ノッティンガム.プレイハウス,2018.11.20収録)
■劇的感動は無いが歴史小説を読む時のリズムが舞台に感じられる。 遣唐使時代の僧や留学生を主人公にした小説によくある。 作者の鼓動が散文に染み込んでいるリズム的感動とでも言おうか? 今回は王室や政治家の事務的な台詞や小刻みな場面展開にこれが現れている。
主人公は英国王ジョージ三世。 彼は聡明な国王だ。 しかし治世後半から精神疾患に悩まされる。 それでも彼は疾病を克服し国王の責務を再開する・・。
英国王と首相が登場する「ザ・オーディエンス」が脳裏に浮かんだが違った質の面白さがある。 首相ピットのほか国王を取り巻く女王や側近たちが舞台を修飾する。 4人も登場する医者たちの呪術的な精神治療や、政党間での摂政法案提出の駆け引きなど楽しい場面が満載だ。 北米植民地やフランス革命、東インド会社問題も背景で見え隠れする。 ともかく彼の生涯は波乱万丈だったようだ。 何度も映画化されている理由が分かる。
*NTLナショナル.シアター.ライブ2019作品
*作品サイト、http://ntlive.nationaltheatre.org.uk/productions/ntlout30-the-madness-of-george-iii