■ザ・オーディエンス

脚本:P・モーガン,演出:S・ダルドリ,出演:H・ミレン
■日本橋東宝シネマズ,2014.6.27-7.2
歴代英国首相が君主エリザベス二世に謁見をする作品である。 謁見は毎週一回火曜日にある。 この慣習は初めて知った。 これは非公開のため芝居内容は現実に近い想像ということになる。
各首相と女王の対話はユウモアとウィットがある。 これが作品の決め手だが対話間の余白も面白い。 娘アン?や側近との話、警備員の動きや街の雑踏も唸らせる演出である。 エリザベスの衣装が首相ごとに変わるのも素晴らしい。
また対話の裏にはセラピストと患者の関係もあるとピータ・モーガンが言っていた。 君主は最後には首相に従うため多くは女王がセラピストになるはずだ。 この関係も舞台の面白さを増している。
現首相名が直ぐに出てこないくらいだから、チャーチル、ブラウン、ブレア、サッチャアしかわからなかった。 首相と君主の位置関係、国民への対応、他国間外交、法律上の権限や制約等々が現実的に論じられる。 作品に重量感も出ている。
日本で首相と天皇を登場させ真面目ながら笑いを誘う舞台を作るのは並大抵ではないであろう。 さすがNTというより英国の舞台力をみせつけられた。
*NTLナショナル.シアター.ライブ作品
*映画comサイト、https://eiga.com/movie/80136/