■十九歳のジェイコブ

作:中上健次,脚本:松井周,演出:松本雄吉,出演:石田卓也,松下洸平,横田美紀,奥村佳恵
新国立劇場・小劇場,2014.6.11-29
セックスやドラッグ、終わりに殺人もある舞台は暗い流れが充満している。 しかし湿った感じが少ない。 原作は読んでいないがもっと日本的湿度のある小説にみえる。
こうならなかったのはジャズや松井周と松本雄吉の成果物が舞台に表れていたからだろう。 もう一つ、なぜジェイコブが高木一家の殺人を遂行するのか? この理由が見えないからである。 断片的行為が連なる抽象化の激しいストーリーである。
街の雑音と大阪弁?のセリフが幾つかの場面にあったがとても活きていた。 しかし中途半端である。 全編大阪弁にしたほうが生活の匂いが舞台により感じられるはずだ。
途中一度だけ眠くなってしまった。 ある種のリズムがあるからだろう。 芝居が終わりカーテンコールが無かったので拍手もおきなかった。 観客からみて好き嫌いのはっきり出る芝居である。 硬さのある叙事詩を観ているようで結構面白かった。
*劇場サイト、http://www.nntt.jac.go.jp/enjoy/record/detail/37_005522.html