■パゴダの王子

振付:D・ビントレ,指揮:P・マーフィ,出演:小野絢子,福岡雄大,湯川麻美子,新国立劇場バレエ団
新国立劇場・オペラパレス,2014.6.12-15
■シーズン最終公演は最高傑作のはず、ということで初台に行ったが残念ながら好みに合わなかった。 開幕早々ダンサーが平安貴族衣装で登場して仰天! ・・時代が遡り過ぎるのでは!? しかも次々奇抜な衣装が繰り出すので混乱してしまう。
兄の蜥蜴衣装はカッコイイが、「くまもん」の崩れたようなハリボテにはマイッタ。 和服の多くは朝鮮風、扇子や傘などの小道具は中国風である。 二幕回想場面では音楽や衣装はガムランのインドネシア風に変わる。 しかもパゴダと言えばミャンマーだ。
唐草文様やトロピカル感のある花など周辺の飾りも含めてアジアを総動員したような舞台だった。 たとえファンタジーでもこれがグローバル時代の外から見た日本の姿かもしれない。 というより未来の日本の姿を先取りしているようにも見えてしまった。
逆に日本人監督が欧米の歴史を踏まえた舞台を作ればやはり同じだろう。 肝心のバレエだが桜姫と王子がまとめて踊った終幕場面しか覚えていない。 ダンサーたちはとても巧い。 音楽は物語の起伏まで入り込んでいて面白い
目は楽しめたが、それより先へ行けなかった舞台である。 綺羅びやかな美術・衣装のわりには物語力が弱かった。 これが理由の一つである。
*NNTTバレエ2013シーズン作品