■西部の娘

作曲:G・プッチーニ,指揮:C・リッツィ,演出:N・レーンホフ,出演:N・ステンメ,M・ベルティ,C・スグーラ,パリ・オペラ座
東宝シネマズ日本橋,2014.6.12-19
■予想外の展開だわ。 西部劇の匂いは一欠片も無いの。 一幕は革スーツ黒メガネの男たちが屯している高層ビル地下のバー。 二幕はトレーラーハウス。 それも室内は驚きの桃色で統一。 三幕は廃棄自動車が積み重なっている車体置き場。
ここまで凝らなければ作品の牽引力が発揮できないのかしら? でもこの凝りを背景に、不協和音が歌詞を異様に変化させて現実世界との差異を出している。 これが面白さを倍増しているのは確かね。
ラメレスが死刑直前「故郷へ帰ったとミニーに言ってくれ、もう戻ってこない・・」と歌う場面は、鉱夫たちが故郷の思いを歌い初めた一幕を思い出す仕掛けになっている。 この円環構造にはシンミリするわね。
ミニーは歳をとり過ぎていて、<西部の娘>の生きの良さは失われていたわ。 そしてフランスの米国への辛辣さはいつもながら感心ね。 終幕MGMのライオンが咆哮する中、宝塚大階段を使った舞台は過剰と言うしかない。
*パリ.オペラ座ライブビューイング2013