■アラベラ

作曲:R・シュトラウス,指揮:B・ビリ,演出:P・アルロ,出演:A・ガブラ,W・コッホ,A=N・バーマンン
新国立劇場・オペラハウス,2014.5.22-6.3
物語に寄り添っていて映画音楽のようね。 しかも意味を問う歌詞が多いから物語を浮き出させることができた。 意味を問うとは「結婚」「婚約」などの祝祭的な言葉を噛みしめること。 「ばらの騎士」を卒業した作品にみえる。
舞台はクリムトの絵が映える素晴らしい青の世界。 沢山の青で表現するウィーンは珍しいかもね。 アラベラは理想と現実を持っていてとても複雑にみえる。 でもその複雑さをきちっと表現している。 それはマンドリカの真摯な対応があるからよ。
でもウィーン世紀末の退廃感は無かったの。 理由は父親の賭博癖が強すぎて滑稽だから。 アラベラ役ガブラーが若すぎるから。 ズデンカのズボン役が反宝塚的だから。 青の世界も過剰かもね。 それでもアラベラの若さは物語の中では光っていた。
終幕に近づくにつれて、家系や結婚など制度としての保守性を越えて真実に向かっていく面白さが増していったの。 フィアカーミリも楽しめたわ。 ホフマンスタールとの共同作業が長く続いた理由を理解できるわね。
*NNTTオペラ2013シーズン作品