■ジャン×keitaの隊長退屈男

■演出:ジャン.ランベール=ヴィルド,翻訳:平野暁人,出演:三島景太
■アトリエ春風舎,2019.6.22-26
■春風舎は久しぶりのため池袋駅で何度も地図を確認してしまいました。 ・・場内に入ると2m四方の木製舞台があり50客程の席が取り囲んでいる。 小さくした盆踊りの櫓にみえますね。 天井にぶら下がっている白黒模様の提灯が異様ですが・・。
三島景太は軍隊長磐谷和泉として軍服姿で登場。 まずは挨拶や談笑で和やかな雰囲気です。
前半は日本の軍歌や古い歌謡曲を歌いながら狭い舞台を行進したり客への手拍子を催促したり、はしゃぎ過ぎる兵士を演じます。 そこは南方のジャングルで戦闘状態らしい。 彼のモノローグは父母のこと、姉のこと、・・次第に己自身のことに近づいていく。 近づいている死が語られる。 その科白は哲学的ですがどこかエスプリを感じさせます。 つまり乾いている。 動作は激しいが呆気らかんとしています。
後半、軍服を脱ぎ捨て褌一丁になった姿を見て三島でも由紀夫を思い出してしまった。 三島由紀夫がコントを演じるとこうなるのではないのかと考えてしまった。 汗と砂にまみれ動き喋り過ぎた後に赤いワンピースを羽織る。
終幕、客席の前に置いてある香炉に(観客も)線香を立てていきます。 隊長が生きているのか死んでいるのか定かでない。 迫りくる死を前にして、此岸の思い出と彼岸への不安が入り交ざり、秋晴れのような狂気へ突き進む兵士の姿を見ると何と言ってよいのか分からなくなります。 三島景太の熱演だけが残った舞台でした。
*青年団国際演劇交流プロジェクト2019
*劇場サイト、http://www.komaba-agora.com/play/8933