■つく、きえる

作:ローラント・シンメルプフェニヒ,演出:宮田慶子
新国立劇場・小劇場,2013.6.4-23
いつもの立方体の骨組みでできた舞台です。 小劇場は好きですね、この構造が。 三組の不倫から始まるのでこれは面白くなるはず・・、しかし面白くなりません。
頭を二つ持つ女、口が無くなった男、石になった夫人などなどが役者から語られます。 作者はシュルレアリスムに影響を受けているようです。 北斎の富士山の無い「神奈川沖浪裏」が飾ってありました。 残念ながら日本人には津波のパロディには見えません。
後半はストーリーを見失いました。 と言うのもこの舞台は詩の朗読だからです。 鯨と蜜蜂から童話の朗読でもあります。 シュルレアリスムと津波災害を繋ぎ合わせることができるか? この芝居の隠れた目標だと勝手に考えました。 しかし言葉の良いところだけを採っているだけで終わっています。 繋ぎ合わせは達成できていません。
構造と同じく、ここ小劇場で流行りの映像ですが今回は素人的です。 この映像の失敗が言葉を浅くしている一つの原因です。 作品名も最後まで意味不明でした。 周囲には居眠りの客ばかりでしたが(特に前半は)、個人的には珍しいカタチ・ナイヨウなので結構楽しみました。