■脱線!スパニッシュ・フライ

演出:ヘルベルト・フリッチュ,出演:劇団フォルクスビューネ
静岡芸術劇場,2013.6.8-9
舞台は隠れるほどの絨毯が敷いてある何もない空間。 トランポリンが埋めてあるから? トランポリンの使い方は雑だけど舞台に眩暈を連れてくるの。 これで役者は一瞬だけどB・キートンの動きを見せてくれる。 でも仕種はチャップリンね。 特に父親ルードヴィヒはチャップリンのそっくりさん顔。 動きに言葉がついていかない場面もある。 日本人の笑いをとるには少し大味かもね。
物語は1913年が背景の間違いのドタバタ喜劇。 やはり大戦前夜だから高ぶっていたのかしら? 最後に母性保護同盟会長の妻エンマが夫のモテ方を認めたけど、つかの間の自由の時期だから? 衣装もカラフルで何もない空間にピッタリだった。
全体にある種のヨーロッパ演劇の雰囲気というものがあったわ。 この春に観たラドゥ・スタンカ劇場の「ルル」でもそうだった。 ロンドンの落ち着きやパリの軽やかさのある、感情から湧いてきたのとは違う何かギラッとした硬さのようなものよ。 ヨーロッパの真髄かもしれない。