■刺青奇偶 いれずみちょうはん

作:長谷川伸,演出:寺崎裕則,出演:中村勘三郎,坂東玉三郎,片岡仁左衛門
■ムービックス,2013.6.15-21(歌舞伎座,2008.4収録)
ユックリとした時間が舞台に充満しています。 幕開きでの半太郎と熊介、半太郎と身投げをしようとしたお仲、すべての科白は江戸時代の時間の中で話が進んでいるようにみえます。 世間と生活の静かさを意識します。 男と女の出会いも江戸風です。
悪い言い方をするとストーリーが流れに乗っていません。 しかも夫婦生活を飛ばしてお仲の死が近い場面から二幕が始まります。 時間の流れが留まったり、飛んだりする粗さがこの作品にはあります。
あらすじを知らないで観たので、終幕の鮫の政五郎との勝負場面には息を呑みました。 今までの欠点を全てチャラにしてもお釣りがくる場面です。 あとで観客自身が物語を滑らかに組み立てて想い起こしたい長短所のある面白い作品でした。
*シネマ歌舞伎第8弾作品