■レ・ミゼラブル

監督:トム・フーバ、出演:ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ
新聞や雑誌で歌唱の裏話は聞いていました。 まさに歌う日常生活が素晴らしいですね。 逆に日常世界と相反することもわかりました。 歌唱が日常の裏側に食い込めないのです。 これがディズニーに毛を生やしたような作品にしています。
前半は「スウィーニー・トッド」を社会の隅々まで広げたような風景に描いています。 まさに人肉を食う世界です。 このような社会でジャン・ヴァルジャンがパンを盗んだだけで19年も監獄に入っていたとは信じられません。
ジャヴェール警部は一神教つまり契約の化身です。 悪魔の理髪師とジャヴェール警部のいる時代が、社会保障制度の確立に全力を費やす19・20世紀を創りだしたのです。 日本も同じ時代を持ったはずですが、ジャヴェール警部が出現しなかったからこの制度を西洋から導入せざるを得なかったのでしょう。 いろいろと考えてしまう作品でした。