■天守物語

■原作:泉鏡花,演出:毛利亘宏,出演:少年社中
■吉祥寺シアター,2011.6.3-12
■妖怪の住む天守閣と人の道が深い自然で分かれている舞台、父親に戻る時間の展開方法、妖怪と人の相違を説明している多くのセリフ、「妖怪も人も死ぬのは怖い」。 具体性を持っているにもかかわらずシンプルで分かり易い舞台です。
そして中国風の華麗な衣装と日本の祭りの踊りがこれを包み込んで少年らしい世界を提示しています。 そのぶん深い精神の襞は描けていません。 しかしそれは観客が想像すればよいのですから。
もう少し抽象性を進めたらまた少し夢幻世界へ近づけたかもしれません。 ところで黒衣の鷹の動きは、右腕だけで羽を表現し身体とその位置を分離して面白い存在感を持っていました。 楽しい一時を過ごせた芝居でした。
*劇団サイト、http://www.shachu.com/tenshu/