■モリー・スウィーニ

■作:ブライアン・フリール,演出:谷賢一
■シアタートラム,2011.6.10-19
■盲目モリーの目の手術の前後まではヘレン・ケラーを思い描きながら観ました。 触覚優先の別世界へ想像力が働く舞台です。 後半は再び目が見えなくなるがその原因が伝わってきません。 モリーが何かを失ったことはわかりますが。
夫フランクはコント?を演じたり、時にはケーシー高峰のようにホワイトボードで医学論を展開したり、セリフを叫んだり、そして観客にも愛想をふりまきます。 ライス医師も手紙を読んでるような棒読みで時にはフランクに釣られてか叫び調子になります。 モリーとフランク、ライス医師の三人は別々の芝居の役者のようです。
舞台の机や椅子や本棚のあるつまらない日常風景が、後半は黒の基調で赤いコート、黄色い傘、水色の服と波を打っている黒銀色の床への抽象的風景に再編成されます。 この舞台移行の理由も不明です。
SFのような物語でしたら気にしませんが、以上の三点が観後に残った芝居の不可解さです。 これが面白いとも言えます。
*劇場サイト,https://setagaya-pt.jp/theater_info/2011/06/post_229.html