■ハムレットマシーン (HMフェスティバル1日目)

■d-倉庫,2018.4.4-5
■原作:ハイナー・ミュラー,演出:赤井康弘,出演:サイマル演劇団
■二本立てです。 先ずはサイマル演劇団。 車椅子に座っている男、傘をさしながらゆっくり歩く女、絡み合いながら床を転がる男女の、登場人物は4人ですが終幕まで状景は殆んど変わりません。
車椅子の男は科白の紙片をみながらしゃべり続ける。 同時に歩く女と絡まる男女は場面ごと交代で喋っていく。 車椅子の声が通奏低音のごとく奏でられ、その上にもう一つの声が重なっていくような構造です。 変化と言えば場面の境で照明と音響にノイズが入るくらいです。
事前に戯曲を読んできたのですが意味は断片になり押し寄せて来るだけです。 詩の朗読のようですが何故か面白みがありません。 詩的からほど遠い。 重声が聴きづらく通俗的です。 歩くこと床を転がることそして喋ることが機械的なことも一因です。 当にマシーンのようですね。 終幕、車椅子の男が立ち上がり倒れる。 演説のような録音も聞こえたようです。 観ているほうも身体が硬くなる舞台でした。
■原作:ハイナー・ミュラー,演出:三浦雨林,劇団:隣屋
■休息をはさんで次は劇団隣屋が登場。 同じ作品でもこんなに違うとは驚きです。 掛け合いのような演技をする男女とその影のようなダンサーの3人が登場します。
豆電球で作られた土俵で子供の遊びを真似てハムレットごっこをしていく。 二人はハムレットになりオフィーリアになりラスコリニコフになる。 原作を生身の役者に合わせて写像変換している。 それはハイナー・ミュラーを飛び越して作品内の作家たちと向き合っているようにみえる。 役者たちは独特な動きをしてダンサーと巧く同期を取っていきます。 途中、ドラえもんとのび太の場面があったが<演技をしない演技をしている>ようで劇的でした。 多くの場面で声を含めて身体への繊細感が伝わってきます。 演奏もシンプルな楽器を使い効果を高めていた。 久しぶりに感覚器官が全開しました。
*「ハムレットマシーン」フェスティバル参加作品
*劇場サイト、http://www.d-1986.com/HM/index.html