■ハムレットマシーン (HMフェスティバル4日目)

■d-倉庫,2018.4.17-18
■原作:ハイナー・ミュラー,演出:こしばきこう,劇団:風蝕異人街
■満席ですね。 本日は観客の年齢性別がバラけている。 ダンサーたちの床を踏み歩くリズムが強く響いてきます。 彼女らは緑色ノースリーブの同一衣装を着て科白を交互に喋りながら舞台を前後する。 ハムレットは途中衣服を脱ぎパンツ一丁で激しく喋り踊ります。 残りの数名が舞台壁際でうごめく。 舞台奥には映像です。 作者ハイナー・ミュラーの心象風景はこうだと言っているようです。
しかし科白と身体動作の関係がぎこちない。 両者が結びつかない。 舞台壁際でうごめく役者は衣装も動きもよいが孤立していた。 原作者と直にぶつかったが無視されてしまった感じです。 演出家が急いでしまい役者まで浸透しなかったのではないでしょうか?
■原作:ハイナー・ミュラー,演出:伊藤全記,劇団:7度
■出演者は二人。 スポーツ衣装で舞台を走るのはハムレットなのか? 白い衣装で立ち科白を延々と喋るのはオフィーリアのようです。 そしてハムレットはビーチチェアに横たわる。 科白の発声が透き通っていて耳によく聞こえてきます。 ハムレットは略椅子に横たわっていましたが存在感がありました。
「ハムレットマシーン」を続けて8本観ました。 戯曲の非物語性から滲み出る作者の生きた時代と、身体重視の劇団の、戸惑いの出会いが面白かった。 戸惑いの拘り具合で舞台に巾が出ていたようにみえる。 拘りを強く意識していたのは「サイマル演劇団」「身体の景色」「ダンスの犬」「楽園王」「風蝕異人街」。 この縛りから逃げていたのは「隣屋」「初期型」「7度」です。 もちろん直観で分けたのですが。 前者は社会や政治情勢が強く現れる。 社会主義総崩れ直前の戯曲は重みがあるからです。 後者は台詞が同じでもそれに比較して弱い。 言葉の意味を作者のいる過去に探し求めなかった為でしょう。 面白さが出ていたのは後者でした。 社会主義崩壊が新しい何ものも作り出せなかったこともある。
フェスティバルは特にですが初めての劇団に出会えるのが嬉しいですね。 「IDIOT SAVANT」と「劇団シアターゼロ」の公演が残っていますが都合で観ることができない。 「ハムレットマシーン」4月の連続観劇はこれで終わりにします。
*「ハムレットマシーン」フェスティバル参加作品