■空観

■演出:扇田拓也,出演:ヒンドゥー五千回
■座高円寺,2018.4.25-26
■名前は聞いていましたが初めて観る劇団です。 長いあいだ活動を休止していたらしい。 しかも今回が最終公演とのこと。 最初で最後です。 先ずは演出家の挨拶がありました。 <空>は仏教用語から採っている。 「ヒンドゥー五千回」もどこか宗教的な響きがしますね。
道具の少ない舞台ですが代わりに役者が家具やドアや門に変身する。 鏡に映る姿を別の役者が演ずるのは面白い。 言葉も意味の無い羅列を喋る。 身体動作の比重が大きい劇団です。
そして役者たちの衣装からある階級を表しているのが分かる。 古びた背広・ジャケット・ロングスカートなど西欧風な正統性ある下層市民の姿の為です。 しかし仮想言語から最初は東南アジア、対人動作から徐々に中南米世界に近づいていった。
途中日本語の朗読や般若心経も唄われる。 <空>のごとく我が広がっていくのを舞台化した作品にみえました。 宗教性は身体に溶け込んで見えなくなっている。 このような劇団だったとは予想しませんでした。
「・・新たな劇団を立ち上げる」と演出家挨拶文にある。 「この世の存在・現象・自我に境界はなく実体がない」という意味の「空観」が新劇団名となるらしい。 活動の休止や出直す理由は知りません。 少し古めかしい社会性を誠実さのみえる身体で描く、変わった感じのする舞台でした。
*劇団サイト、https://hd5000k.wixsite.com/hd5000k