■和栗由紀夫、魂の旅

■主催:「和栗由紀夫魂の旅」実行委員会,中嶋夏,谷川渥
■東京ドイツ文化センター,2018.4.21
■「2017年10月に急逝した舞踏家和栗由紀夫を偲ぶ」会が開催された。 赤坂のドイツ文化センターは来場客で一杯だ。 ロビーには写真や衣装・資料そして来客から和栗由紀夫へのメッセージが「花びら」として貼られている。 配られた20頁のプログラムも充実している。 第一部「楼閣」第二部「翼」の公演構成で全3時間の内容(□)は以下の通り・・。
□挨拶・トーク:谷川渥、森下隆、後藤光弥
□舞踏:小林嵯峨、山本萌、正朔、工藤丈輝、川本裕子ほか
□ダンス:関典子「マグダラのマリヤ」
□和太鼓:富田和明ほか
□映像:「疱瘡譚」(1972年)、「眠りと転生」(1989年)、「野の婚礼」(1994年)、「百花繚乱」(2007年)、「病める舞姫」(2017年)より。
ダンスでは関典子と正朔が印象に残る。 映像では「野の婚礼」だろう。 和栗の舞踏の形が出来上がりつつある。 40歳前半で脂が乗り切っている感じだ。 この作品は通しで観てみたい。 しかし「病める舞姫」は彼の死の1週間前の為か苦しみの動きで満ちている・・。
和栗は状況劇場唐十郎の門を叩いたが無視されアスベスト館土方巽に入門したらしい。 今だから楽しい話題だ。 彼の舞台は当に百花繚乱のごとくみえる。 あるときはキートンでありチャップリンである。 ニジンスキーでもある。 そして彼のどこか一味違う理由がプログラムを読んで分かった。 彼は土方巽のもとで衣装係を担当していたのだ。 「・・和栗はイメージの色に近づけるのに何度も衣装を染め直した」(和栗佳織)。 土方巽から伝承された舞踏譜の一部がプログラムに載っている。 「・・土方巽は即興を演じながら即興を否定した」。 ダンサーと衣装・美術・照明・音響・・全てが一つに溶け合うその一瞬に舞台芸術の真髄が現れる。 納得の技術としての総合力が舞踏花伝だと和栗は言っているのだと思う。
*公演サイト、https://otsukimi.net/koz/#top
*「このブログを検索」語句は、 和栗由紀夫