■亡国の三人姉妹

■原作:A・チェーホフ,翻訳:中田博士,演出:多田淳之介,出演:東京デスロック
■富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ・マルチホール,2016.12.21-22
■公園で浮浪者がテントを張って暮らしている。 そのような光景が舞台に広がります。 周囲にはダンボールや生活用品、人形や玩具が散らばっている。 その多くには丸い穴が開いています。
なんと役者たちの話相手が多彩で面食らいました。 役者と人形、人形と人形、役者と玩具、リーディング=朗読、空に向かって・・、もちろん役者同士の対話もあります。
三人姉妹の心模様がハッキリと伝わってきます。 対話が役者同士でないと色々な思いを沢山の言葉で伝えることができるからだと思います。 しかしモノはその場に浮遊しているだけで、人間関係からくる幸せや悲しみのみが抽出され客席に届く。 マイクとスピーカの使い方に雑な場面があったのは残念ですが面白い手法です。 
「100年前のチェーホフから届いた手紙」の返信がこの作品のようです。 三人姉妹の未来を待つ姿は現代人でも同じです。 しかし「姉妹の苦しみは未来の人々の幸せに繋がる」舞台でした。 姉妹と同じ悩みを分かち合えたからです。
*チラシ、http://deathlock.specters.net/files/3shimai_omote.jpg
*2016.12.25追記 「テントはパレスチナ難民キャンプと想定できる」(ASREAD16.11.25)。ナルホド。