■かもめ

■原作:A・チェーホフ,演出:三浦基,出演:地点
■吉祥寺シアタ,2016.12.13-17
■会場に入るとニーナが茶と菓子を勧めてくれます。 いいですねえ、ウフフ・・。 舞台は机と椅子が縦一列に並べられ社員食堂のようです。 客席は三方を取り囲んでいる。
トレープレフがアクセントをずらし強調しながらガンガン台詞を喋り続ける。 そして机の上で歩き転げまわる。 他役者は時々科白を言うがほぼ静止の状態です。 ニーナも台詞量は多いのですがトレープレフとは比較になりません。 役者達で奏でる地点独特な身体的ハーモニーとリズムは影を潜める。
この役者間の非対称性のため演劇により近づいた作品になっています。 しかし女優たちの静止している時の存在感の薄さが気にかかる。 男性陣は様になっていた。 女性たちは喋り続ける生き物だからかもしれない等々考えながら観てしまった。
戯曲の中で目立つ事件や行動、科白が強調されているのでかもめのエキスを体験したような観後感が残りました。 「かもめ」を既に観てきた客がその具体と抽象の差異から何かを得ようとしたい舞台にもみえる。 トレープレフの自殺はいつも冷めた驚きがあります。 この舞台は饒舌と沈黙からくる落差が驚きに繋がっていました。
*劇場サイト、http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2016/09/post-52.html