■ドーレ・ホイヤーに捧ぐ、「人間の激情」「アフェクテ」「エフェクテ」

■振付:D・ホイヤ,S・リンケ
■あうるすぽっと,2016.12.9-11
■上演は3本。 「人間の激情」はホイヤー1962年の作品らしい。 舞台にハンガーラックが置いてありダンサーはそこから衣装を選択していく。 これをみてビビッと記憶が甦った。 帰って記録を開けたら1990年4月にスパイラルホールでスザンネ・リンケを観ていたのだ。 彼女自身踊ったのか忘れたがハンガーラックの使い方は新鮮だったので覚えている。 本日のカーテンコールにリンケ本人が登場した。 会えて嬉しい。
舞台はモノトーンで20世紀前半に戻ったような雰囲気がある。 女性ソロだが手の使い方が印象深く、おおらかでハッキリした振付である。 音楽も単純でダンサーに絡まない。 舞台背後にホイヤー自身の踊る映像が時々流れる。 次の「アフェクテ」(リンケ1988年)は男女間の感情を表しているようだ。 沼地でカエルや鳥の鳴き声、雨音を聞いているような音楽だが最後は戦場の銃声である。 「エフェクテ」(リンケ1991年)はやはりデュオだが空間も衣装も白でダンサーはサングラスを掛けている。 長い金属棒を持ち大きな銀色トランクケースを動かし回す。 ケースから食器などを取り出したりもする。 古いSF系の匂いもする。
モノと身体それに音楽を個々に意識して見ることができた時代の作品である。 複雑に絡み合った今とは違う。 観客の拍手が小さかったのは現代との差を戸惑いとして感じたからだとおもう。 F/T2016参加作品。
*作品サイト、http://www.festival-tokyo.jp/16/program/linke/