■ヘッダ・ガブラー

■作:H・イプセン,演出:A・シェルバン,出演:クルージュ・ナポカ・マジャール劇場
■シアタートラム,2016.12.10-11
■緑色の壁に赤布のソファそして古代ローマ風の門を見ただけで異空間に入り込める。 が、なんと夫テスマンは不真面目で大袈裟なスキンシップを繰り返す。 これが周囲に伝染して道化的態度が舞台に漂う。 観客も迷ってしまうだろう。 レコードプレイヤーの選曲は気に入らないがこの流れを助長している。 だが慣れてきたら以外と面白いし統一感がじわりと出てきたのは流石。
夫テスマンの肉体を昇華したような動きに他役者も呼応しているが妻ガブラは台詞や振付の裏に現実がチラッとみえる。 ガブラの自殺に納得できない理由がこの二人の差かもしれない。 背景を100年後にしたガブラの混乱が原因だろう。 召使ベルテは逆に昇華しすぎて素人に近づいてしまった。 
物語的感動は少ないが欧州演劇の血液が舞台に流れているのを感じる。 そして近年、中欧の劇団を観る機会が多いが独特な劇的さを持っている。 字幕の問題を差し置いても、それは舞台上のあらゆる関係性の硬さから湧き起こる。 この作品もそれを持っている。
第3回東京ミドルシアター・フェスティバル国際演劇祭イプセンの現在参加作品
*演劇祭チラシhttps://setagaya-pt.jp/cms-wp/wp-content/uploads/2016/08/ibusen2016_A4.pdf
劇場サイト、https://setagaya-pt.jp/performances/201612ibsen.html