■治天ノ君

■脚本:古川健,演出:日澤雄介,出演:劇団チョコレートケーキ
■シアタートラム,2016.10.27-11.6
■主人公大正天皇嘉仁が明治と昭和の皇室を繋げながら、その先にある平成をも射程に入れて天皇とは何かを考えさせてくれる舞台である。 総理大臣大隈重信は言う。 「天皇とは神棚である」。 しかし人間天皇を目指そうとした嘉仁は現人神である父睦仁と祖父を目指す息子裕仁の板挟みに遭う。 これを達成できたのは、彼の持病や大隈が言う「第一次世界大戦の火事場泥棒」も背景にあったが、一番は側近を遠ざけての皇后節子との結婚生活だった。 世界大戦終結後の大正時代は爛熟する文化の匂いもする。 それは東宮輔導有栖川宮威仁や宮内大臣牧野伸顕が言う「日清日露戦争で臣民は疲れ切ってしまった」反動から来ている。 これも嘉仁の行動を後押ししたのだろう。
今、大正時代と周囲の政治動向が少しずつ近づいている。 脚本家も生前退位の話をしているが、先日「明治の日」制定の動きがあることをニュースで知った。 はたして昭和天皇即位のなか群衆の熱狂と万歳、君が代演奏で幕が閉じる・・。
*劇場サイト、https://setagaya-pt.jp/performances/201610chiten.html