■戦火の馬

■作:M・モーパーゴ,脚本:N・スタフォード,演出:M・エリオット,T・モリス,出演:S・D・ヤング
■東宝シネマズ六本木,2016.11.11-16(NT2014年?収録)
■馬のダイナミックな演技に驚きました。 繊細さも持ち合わせている。 等身大パペットの中に二人の人形遣いが入り棒遣いも加えると3人から5人で操作している。 馬以外にもいろいろな人形や大道具が登場し楽しい舞台になっている。 照明や映像も迫力満点です。
前半のイングランド農場にはアヒルやナイチンゲール?が飛び回る長閑な風景が広がり、後半のフランスの戦場では大砲や戦車が激しく動き回り光景が一変する驚きがあります。
特に戦場が具体的に描かれている。 イギリスやフランス、ドイツの各兵隊や農民が入り交ざるので複数言語の面白さが出ている。 また第一次世界大戦は機関銃・戦車・毒ガスが登場したので今まで活躍していた騎兵隊は使い物にならない。 このため次々と軍馬が死んでいく。 作者は大戦で1千万頭の軍馬が死んだと予想している。 英国からは百万頭が戦地へ渡り数万頭しか戻れなかった。
このような中で馬のジョーイが主人公の農家息子アルバートと共に苦難を乗り越えて戦場から帰るという話です。 ジョーイとアルバートの強い絆は素晴らしい。
原作では馬の一人称だが舞台では周囲の人々の語りで進められると作者がインタビューで話していたが、この作品の舞台化は多くの困難があったらしい。 役者がお面や尾を付けてそのまま馬を演じようとした案もあったようですね。 この芝居に感動したスピルバーグが後に映画化したというのも頷けます。
*NTLナショナル・シアター・ライヴ作品
*映画comサイト、https://eiga.com/movie/82984/