■トリスタンとイゾルデ

■曲:R・ワーグナー,指揮:S・ラトル,演出:M・レトリンスキ,出演:N・ステンメ,S・スケルトン,R・ペーパ,E・グバノヴァ,E・ニキティン
■新宿ピカデリ,2016.11.12-18(MET,2016.10.8収録)
■この作品を観るといつも愛と死の妙薬を飲んでしまったような気分になってしまう。 ストーリーは分解され愛と死のことしか考えられない。 だから歌唱と音楽だけあればよい。 映像を再び持ち出したので面白さが半減したけど前回*1よりずっと良くなっていた。 余分な映像は見た途端その意味を考えてしまい舞台から一瞬離れてしまうの。 でも過去の出来事だけは映像に頼るしかないのかな?
トリスタン役スチュアート・スケルトンがイプセンの演劇のような演出だったとインタビュウで言っていたけど一幕はその通り。 でも他作品と違ってパッションの塊だけが迫ってくる。 幕が上がるほどワーグナーになっていくけど、いつもの宇宙的爽快さは無い。
男性歌手たちの風貌は全員バス的だったけど歌唱は抜群によかった。 テノールは滑るような感じだったのでもう少し噛み締めると厚みが出るわね。 日本語字幕は分かり難いところがあったけど良しとしましょ。
*1、「トリスタンとイゾルデ」(MET,2008年)
*METライブビューイング2016作品
*作品サイト、http://www.shochiku.co.jp/met/program/s/2016-17/#program_01