■能楽堂五月「簸屑」「杜若」
*国立能楽堂五月普及公演の□2舞台を観る.
□狂言・和泉流・簸屑■出演:井上松次郎,今枝郁雄,鹿島俊裕
□能・金剛流・杜若(日蔭之糸,増減拍子,盤渉)■出演:種田道一,野口能弘ほか
■国立能楽堂,2025.5.10
■「在原業平・生誕1200年」の月間特集はプレトーク「業平の恋・唐衣をまとう杜若の精」(梅内美華子)で始まる。 これを聴く。
・・先ずは業平の家系と彼の生涯を俯瞰する。 彼は漢詩文が得意ではなかったらしい。 これも和歌に傾いた理由か? 次に藤原高子との禁忌の恋が語られる。 「伊勢物語」に関わる能は平安朝の原典から離れ中世注釈書の影響が大きい。 さいごに「杜若」の粗筋を解説する・・。
「杜若(かきつばた)」は小書「日蔭之糸ひかげのいと」「増減拍子ぞうげんびょうし」「盤渉ばんしき」が入る。 業平の三河八橋の歌も紹介され親しみのあるストーリーだ。 後場、シテは業平であり高子に変身する。 物着まではシテとワキの問答、次に二段クセでシテと地謡、そして舞が続く。 均整がとれた構成になっている。 面は「孫次郎」。 頭の冠が少し重たいが。
雨上りの曇り空だがひんやりとした温度・湿度が気持ち良い。 能楽堂中庭のモミジも緑が鮮やかだ。 舞台に没入できるか? この時期にもってこいの作品である。
「簸屑(ひくず)」は茶の屑(簸屑)を臼で挽く太郎冠者に次郎冠者が悪戯をする話。 主である茶屋亭主はこの挽茶で宇治橋供養の道者(巡礼者)を接待する。
*月間特集・在原業平生誕1200年公演.