■想像の犠牲
■作・演出:山本ジャスティン伊等,台詞引用:「サクリファイス」アンドレイ・タルコフスキー,出演:石川朝日,佐藤駿,田崎小春ほか,主催:Dr.HolidayLaboratory
■吉祥寺シアター,2025.5.3-5
■メタ演劇とでも言うのでしょうか? 芝居を作る過程を描いている。 舞台職業とは無縁で、観るだけが趣味の私にとって作成過程は新鮮です。 演出とは?、戯曲とは?、演じるとは?・・。 質問されると戸惑います。 これらは謎です。
観客との境が曖昧な手法をとりながら幕が開く。 役者たちは劇団チェルフィッチュのような動きや話し方をする。 少しずつ引き込まれていきました。
アンドレ・タルコフスキー監督の「サクリファイス」を引用しているらしい。 この映画は数十年前に観ている。 粗筋などは覚えていない。 劇場へ行く前に調べようとしたが止めました。
舞台は周囲に段差を付け中央の床に水を張りベッドが置かれている。 この水がタルコフスキーを呼び込みましたね。 彼の雰囲気が漂っていました。 でもサクリファイスとは何か? キリスト教も邪魔をしている。 それを考えている余裕は無い。 役者の演技と科白に集中しました。
でも2時間半は長い、役者は緊張を維持し続けていたが。 上演時間が長すぎて終盤は戯曲に絡め取られてしまった。 文学的な匂いがしてきた。 観ている方が疲れてしまった。 アフタートークがあったが解放されたかった。 トーク前に劇場を後にしました。 しかし面白い舞台でした。 役者も存在感があった。
帰りの吉祥寺駅へ向かいながらいろいろ考えてしまった。 タルコフスキーのこと、転形劇場のこと、床に水を張った作品があったはず。 チェルフィッチュのこと、青年団のこと、・・などなどをです。 タルコフスキーと太田省吾は水の人でしょう。 ついでに、唐十郎も水だが土が混じる、つまり泥の人かな?