■桜姫東文章

■作:鶴屋南北,監修・補綴:木ノ下裕一,脚本・演出:岡田利規,出演:成河,石橋静河,武谷公雄ほか,劇団:チェルフィッチュ,木ノ下歌舞伎
■あうるすぽっと,2023.2.2-12
■「独自の解釈はできるだけ加えない・・」「ドラマ性を徹底的に疑い・・」。 脚本・演出と監修・補綴、両担当の挨拶文にもあるように舞台は淡々と進む。
チェルフィッチュ風な動作と発声はあったが今回は不発だ。 清玄かつ権助役の成河もこの型を取り入れていたが切れ味が悪い。 舞台はドライに進んだが粗雑さも感じられた。 作品の量に対応できなかった? 観ていて草臥れてしまった理由だ。
しかし表層が剥き出しにされ江戸時代のエログロが舞台に出現していた。 当時の庶民からみれば見慣れた生活の一部だろう。 ここが挨拶文の成果かもしれない。 萎びた掛け声、枯れた音楽もそれに沿っていて面白い。 役者たちの濁りのない声が気持ち良かった。
未練の幽霊と怪物」を観てチェルフィッチュは凝縮や抽象の強い能楽が似合うと思っていた。 歌舞伎のような拡散と具体は苦手にみえる。 ところで「桜姫東文章」は流行りの作品なのか? シネマ歌舞伎「桜姫東文章」、「スカーレット・プリンセス」と続きこの1年で3本目だ。
*「ブログ検索🔍」に入れる語句は,岡田利規 ・・検索結果は11舞台.
*2月9日朝日夕刊に村上湛の批評が載る.「・・虚無的な芝居ごっこである」と締めくくっている.
*2月10日日経夕刊に内田洋一の批評が載る.「神話を剥ぎ取る反南北の南北劇だ」と締めくくる.成程!