■桜姫東文章

■作:鶴屋南北,補綴:郡司正勝,出演:片岡仁左衛門,坂東玉三郎,中村錦之助ほか
■新宿ピカデリー,2022.4.8-(歌舞伎座,2021.6収録)
■先月始めに上巻、昨日下巻を観る。 上映時間は計4時間20分。 途中1ヶ月空いたので上巻はうろ覚えだ。 上下を一気に観ないと作品の感動がやってこない。 釣鐘権助の泥酔が原因で呆気なく終幕になってしまうからだ。 下巻だけではこの呆気なさに耐えられない。
しかし、それを差し引いても面白さは群を抜く。 権助が桜姫ばかりか他人の女房や捨子を次々に<交換>していく経済的人間関係、僧清玄幽霊の顔傷を引き継いでいく怨念的人間関係には驚くばかりだ。
「坂東玉三郎の為に作られた作品・・」。 片岡仁左衛門がインタビューで語っていたがその通りの内容だ。 姫が女郎にまで転落していくなか、刻々と変わる作法や言葉の見応ある玉三郎の演技に納得。 桜姫の周りで姿や身分を変えながら演じていく仁左衛門とのコンビは言うことなし。 「36年ぶりの奇跡の舞台」と書いてあるが、「これが最後」と玉三郎は言っていた。 残念ながらこれも納得。 すべてが納得の舞台であった。
*シネマ歌舞伎第38弾,第39弾