■オルフェオとエウリディーチェ

■作曲:C・W・グルック,指揮:鈴木優人,演出・振付・美術・衣装・照明:勅使川原三郎,出演:ローレンス・ザッゾ,ヴァルダ・ウィルソン,三宅理恵,ダンス:佐東利穂子ほか,演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
■新国立劇場・オペラハウス,2022.5.19-22
■「エウリディーチェ」は2月にも会っているの。 また会えて嬉しい。 しかも今回は指揮鈴木優人、演出勅使川原三郎コンビでバロックオペラ、オペラバレエを十分に堪能でき、しかもハピーエンドで物語が終わるから重ねて嬉しい。
当時を再現した器楽が入っているためか慎み深い世界が広がる。 オルフェオのカウンター・テナーがそれに被さり静寂が生れる。 あらためて劇場の広さを感じるわね。 でも美術と照明は舞台空間と均衡が取れていた。 その中でバッハとモーツアルトに挟まれたグルックの揺らぎが伝わってくる。
少し物足りないところもある。 歌手の少なさも一因ね。 ダンサーも同じ。 でも、この薄味が作品の深みに近づけてくれる。 「歌手の技巧誇示を抑えて歌を平明にし、伴奏付レチタティーヴォで劇の緊張を維持しながらドラマをスムーズに進め、雄弁な管弦楽を採用する」(作品ノート)。 グルックのオペラ理念がはっきりと舞台に現れていた。 腹八分の充実感が心身に気持ち良い。
*NNTTオペラ2021シーズン作品