■能楽堂五月「富士松」「小袖曽我」

*国立能楽堂五月普及公演の下記□2作品を観る。
□狂言・和泉流・富士松■出演:野村萬,野村万蔵
□能・観世流・小袖曽我■出演:上野朝義,上野雄三,野村昌司ほか
■国立能楽堂,2022.5.14
■プレトーク「兄弟の絆・母の愛」を聞く。 「小袖曽我」では、母がなぜ弟時致(ときむね)と会わないのか? 詞章を読んでも分からなかったが坂井孝一の話を聞いて納得した。 兄祐成(すけなり)と弟時致が一緒にいると父の仇討ちを話しているのではないか? 周囲に怪しまれるのを恐れて母は弟を遠ざけたらしい。 もう一つ、詞章に登場しない小袖の件だが、父の仇を討った後に兄弟の形見の小袖を母のもとに届けられるところまで話が続くことで、これも納得。 どちらもトークのタイトルに繋がる。 これらは「吾妻鏡」や「曽我物語」を開けばわかることだがそこまで趣味は広くない。 舞台後半は兄弟が男舞を相舞で見せてくれる。 父の仇、工藤祐経(すけつね)を討つ意志が感じられた。 迫力は十分にあった。
狂言「富士松」は和歌の付合をしていく話だがシテ・アドのテンポが速くて吟味できなかった。 「それは教養が無いからだ」と坂井孝一に言われそうだ。