■魔笛

■台本:E.シカネーダー,作曲:W.A.モーツァルト,指揮:R.ベーア,演出:W.ケントリッジ,出演:S.ヴェミッチ,S.ダヴィスリム,安井陽子,林正子,九嶋香奈枝,A.シュエン他,演奏:東京フィルハモニー交響楽団
■新国立劇場.オペラパレス,2018.10.3-14
■大野和士新芸術監督就任一作目は「魔笛」。 指揮も新監督かと思いきや違ったわね。 演出・美術はW・ケントリッジよ。 彼のMETでの「」「ルル」は覚えている。
舞台はどことなくオットリしているの。 衣装の多くを日常世界に近づけていること、ザラストロとパパゲーノが「背の高い静かなお兄さん」のようで全体の演技も地味だから。 ケントリッジ得意の映像もモノクロ系で動線はフリーメイソンの象徴(?)を描き出していて神秘的な静けさがある。 でも犀のような具体的な絵は意味が付いて煩い。
この落ち着いた背景が歌唱歌詞に清らかさを呼び込んでいる。 逆も言える。 演奏もこの流れに沿っている感じね。 モーツァルトの宗教観へと降りていくことができるの。 近頃の「魔笛」の多くはどれもカラフルで遊び心が一杯だから、今回のようにある種の宗教的感情が得られるのは珍しい。 観終わった時、心身の浄化される気分が持てた。 記憶に残る舞台になるかもよ。
*NNTTオペラ2018シーズン作品
*劇場、https://www.nntt.jac.go.jp/opera/die-zauberflote/
*2018.10.13追記 新聞に大野和士のインタビューが載っていた。 彼は「新しい役割を楽しむ」と言っている。 「芸術監督は指揮者ではない」。 つまりプロデューサ、コンサルタントみたいな・・。 面白くなるわね。