■竹取

■演出:小野寺修二,脚本:平田俊子,音楽:阿部海太郎,出演:小林聡美,貫地谷しほり他
■シアタートラム,2018.10.5-17
■初めはダンスのような動きが目立ったが次第にマイムへ比重が移っていく。 物語の節目には科白が入る。 能楽師も登場するので現代能楽集の新作だったことを思い出す。 竹取物語の凡そは知っているので突然の謡でも理解できた。
音響がとても凝っているように感じた。 風の音から虫の声、犬や狼?の遠吠え、鳥の鳴声や羽音、雨や水、そして花火など懐かしい春夏秋冬の音が聴こえてくる。 これに太鼓を要で打ち鳴らし音と音楽でマイムを活性化させていた。
表は畳で裏は板障子を2枚ひっくり返しながら歩き回るデラシネア風の楽しい場面もある。 竹を真似た細いゴム綱を何本も天井から垂らして床の重りを動かしながら前景や背景を作っていくのも同じだ。
しかし、このような舞台になるとは想像していなかった。 演出家の過去作品の延長を考えていたからである。 ダンスでもなければマイムでもない。 一つの言葉にまとめず、そのままダンスでありマイムであり能であり現代演劇であると言ったほうが正解かもしれない。 違ジャンルを巧くまとめていたと思う。 いつも深く考え続けている小野寺修二らしい舞台である。 
太鼓の連打で始まり連打で終わった古川玄一郎の打楽器演奏は全体を引き締めていたし、要所で登場する佐野登の存在感はなかなかのものである。 大駱駝艦の小田直哉の坊主頭が舞台に輝きと深みを与えていた。 ところで崎山莉奈と貫地谷しほりは衣装姿が似ているので最初はどちらが「かぐや姫」か見分けがつかなかった。 舞台を引っ張る小林聡美はもっと老けた役作りをしたほうが全体の調和がとれたように思う。 これは崎山莉奈と貫地谷しほりの間にも言える。 例えばかぐや姫の衣装だけを少し変えるとか・・。 そして藤田桃子の相変わらず楽しく踊っている姿に何とも言えない面白さがあった。
*現代能楽集Ⅸ
*劇場サイト、http://www2.setagaya-pt.jp/performances/201810taketori-4.html
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